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3人の冒険者

入ってきたのは緑色の拳法着に身を包んだ短く切り揃えられた赤い髪に犬のような耳が生えた獣人の女の子でした。


身体中から元気を発散させているような子ですね。


「ルインか、お帰り。

今回は随分と長かったな」


「誰かさんが抜けたお陰で苦労してるんだよ。

テン程の前衛なんてそう簡単に見つから無いし。

それにしてもこの店は相変わらず閑古鳥が……」


そう言った所でルインと呼ばれた女性と目が合います。


何も反応しないのも良くないと思ったので、何となく笑顔で手を振ってみます。


「なんか美人なお姉さんがいる!!!」


「おい、ルイン。

外にまで聞こえてるぞ。

デカい声で叫んでんじゃねえよ」


「もう少し落ち着きを持ったら如何ですか?」


ルインさんが叫んだ所で同行者だったらしい2人の男性も青龍亭に入ってきました。


片方は短い髪に無精髭のちょいワルなおじさま。


もう一人は水色の長い髪を後ろで縛り、眼鏡をかけた知的な青年といった感じですね。


「あ、ザトゥとロイス!

ねぇねぇ、テンが可愛い女の子を連れ込んでるよ!!」


「何だと……マジかよ、やるじゃねぇか」


「随分と清掃が行き届いているみたいですので新しく雇われた従業員では?」


ルインさんが私の方を指さして男性2人に紹介すると、2人も各々の感想を言ってますね。


「こら、ルイン!

この人は大事なお客さんなんだから指差すんじゃねえよ。

お前らも含めてアロエさんに失礼な事しかしてないからな!!」


テンさんが若干の怒気を孕んだ声でそう言うとルインさんの身体がビクッと震えます。


「まぁまぁ、テンさん。

私は全然気にしてませんから」


「……今回はアロエさんに免じて勘弁してやるが、次に同じようなことをやったら宿から叩き出すからな」


「うう……テンが本気で怒ると怖いよぉ。

そしてアロエさんが見た目以上に天使だった」


「ああ、さっきから不躾な態度で騒がしくしてしまってすまなかったな」


「私も久しぶりの帰宅に気が緩んでしまっていたようです。

先程の無礼をお許しください。

ルイン、貴女も謝罪なさい」


「はっ、私まだ謝ってなかった!

アロエさん、ごめんなさい!!」


声をかけられたルインさんが背筋をピンと伸ばし、真っ直ぐに頭を下げて謝罪してくれました。


「先ほども話した通りに気にしていませんから。

その言葉だけは頂いておきますね」


私は3人の謝罪を受け取り、謝罪するルインさんの頭を撫でながら起こすように促す。


すると、何故かルインさんの目がトロンと蕩けている


「うう、なんか凄く気持ちいいよぉ。

アロエお姉ちゃん、もっと〜」


「え、ええ……こ、こうですか?」


「うーん、ゴロゴロ」


何故かあっという間に私の膝に頭を乗せたかと思うと、そのまま脱力して寛ぎ始めてしまいました。


その様子に男3人衆が固まっています。


「え、あの、これって……」


「驚いたな……まさかルインが出会い頭でここまで懐くなんて」


「ああ、他人には警戒心が強いからな、こいつ」




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