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2人のおじさまの正体

「ああ、ゲオルドさん。

毎日飽きもせずご苦労な事です」


下品な男、ゲオルグと呼ばれた男はその言葉を気にした様子もなく食堂の中にズカズカと踏み込んでました。


「そう思うのであれば早くこの宿を明け渡してもらいたいものだがね」


「勘弁してくださいよ。

冒険者を辞めてからやっと開いた宿屋なんですから。

そう簡単に手放せないですよ」


「そうは言ってもこんな誰もいない宿屋など……おや、珍しく1人はいるみたいだな」


ゲオルグはぐるりと辺りを見渡し、テンさんの側にいた私に目をつけました。


因みに何か思うところがあったのか、私が連れてきたおじさま二人はテーブルの下に移動して姿を隠しています。


「初めまして。

珍しくいる客です」


「これはこれは。

貴女のようなお嬢さんがこんなみすぼらしい宿に泊まっては危ないですよ。

ここの店主は魔物の肉を出すような冒険者上がりの乱暴者ですからね。

夜中の安全も保証しかねますぞ」


「な、俺はそんな真似は……」


その失礼な物言いに流石に腹を立てたテンさんだったが、彼を遮るように手をかざして動きを制しました。


「ご心配ありがとうございます。

ですが、私は……」


そう言ってテンさんの頬に手を当てると軽く口づけをします。


「この人のことが気に入っていますので、夜中に部屋に来られても全く構いません。

まぁ、そういう気があるなら事前に知らせてくれると信じてはいますけど」


「ふん、所詮魔物肉を好んで食べるような女は見る目も無いという事か」


「あら、私はあちらにいらっしゃるおじさま達も好んでおりますが?」


「は、そんなところにいったいだ、れ……」


ゲオルグが振り向いた先には、いつの間にか元の位置に座っていた2人がいました。


「やぁ、これは黄金の木の葉亭のゲオルグ殿ではないか。

こんな場所で奇遇だな」


「うむ、全く全く」


2人はゲオルグさんと知り合いらしく、気軽に声をかけているのだが、当の本人は汗が吹き出して止まらないほどに焦り始めていた。


「な、なぜ商業ギルドのマスターであるモントレイ殿とカーク商会のカーク会長のお二人がこ、こんな場所に?」


「何って決まっているじゃないか。

今し方君が馬鹿にしていた魔物肉を食べにきていたのだよ」


「このターネライの商人すべての救世主と呼ぶべき、そちらのアロエ様のオススメでしたからね」


「は、え、救世主?アロエ様?」


ゲオルグさんとついでにテンさんまで何が何だか分からないという顔でこちらを見できます。


「おや、ご存知ありませんか?

最近ターネライを困らせていた盗賊団を捕縛してくれた英雄ですよ」


「しかも、盗賊団の財宝を被害に遭った商人全てに還元して下さった女神のような女性でもありますな。

おかげで何人もの商人が路頭に迷うことが無くなりました」


「え、なに?アロエさんってそんなに凄い事やったの?」


私の横で話を聞いていたテンさんが驚きの声をあげて尋ねてきました。


「私は特に何もしていませんよ。

おじさま達がおっしゃる通りに盗賊を退治して宝を還元しただけです」


「いや、それは十分に凄い事だって!」

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