外来種
ブラックバスやブルーギル、ウシガエルにアメリカザリガニ。
外国から持ち込まれて大繁殖し、日本の生態系バランスを崩しまくってる生物はかなりいる。
逆に日本からオオスズメバチやらタヌキやニホンジカなども深刻な被害をもたらしている在来種もいるらしいが……。
少し前まで、学校からの帰り道であるこの土手には、黄色い花を咲かすセイタカアワダチソウがびっしりと埋め尽くしていた。これも外来種だし、昔はキレイな緑の絨毯のような土手も下品な花に覆われてしまっていたので、みんな眉をひそめていた。
だがある時、その土手に可憐な桃色の花が咲いた。とても美しいし、可愛らしかったので、近隣の住民はみんなでその花を大事にして保護していた。
やがてその花が土手を覆い尽くすようになった。俺も帰り道にその花を見ることがとても好きだったのだ。
そのうちに、その花はその地域だけでなく、日本全国で見られるようになった。外国にも持ち出され、見ない国がないほどになっていた。
俺の高校一年、二年でそこまで広がることに誰も気付かなかったのはおかしい話だったと、後からなら分かる。
それは三年のある日の帰り道。誰しもが桃色の花に微笑みながら家路を急いでいたが、突然現れた宇宙船に呼応して、桃色の花は一斉に毒を吐き出したのだ。
なんてことはない。その花は宇宙船からばら蒔かれた毒草だったのだ。
その毒は地球上にあっという間に広がる……。毒だらけの大気に──。
我々がもがき苦しみながら死に行く間際に宇宙船から宇宙人たちが降りてきたが、彼らは毒にはまったく影響されず平然と行動して行く。
どうやら、あの外来種は彼らに適応した環境を作り上げるものだったの、だろ、う…………。