第81話 周囲に潜む不穏な気配
お盆が明けて、8月もそろそろ終わろうとしている時期。
俺は高岡商事での仕事をこなし、紗友里さんもフリーランスのイラストレーターとしての案件をこなしながら、さらに絆を深め、奈々ちゃん達ともさらに仲良くなった。
秋ごろには、俺と紗友里さんの結婚が控えている。
紗友里さんにとっては、再婚になるのだが。
その時が近づくにつれて、緊張はしているが、それ以上に幸せをかみしめている。
42年目まで彼女すら出来なかった俺だが、ここでようやくといった感じだからな。
しかし、ある日に川崎から不穏な話を聞いた。
「おかしな男が徘徊してる?」
「はい。 刑事さんがここに来て、現在探し回っている最中だという事で……。 どうも喚き散らしながら周囲を壊しているみたいです」
「マジか! 器物破損と迷惑行為のダブルプレーかよ」
川崎が言うには、おかしな男が喚き散らしながら周囲を壊しまわっているという迷惑行為と器物破損をかましているようだ。
刑事からそう教えられたらしい。
今まで平和だったが、たまにこういった変な奴が出てくるのだ。
それが、近辺にいるというのがさらに恐怖をあおる。
「再度刑事さんが来て、注意喚起をしてくるから、おかしな男に警戒する意味で聞いておくといいですよ」
「ああ、そうするよ。 紗友里さん達は?」
「一応、私から伝えました。 今日は部屋で籠ってますよ」
「保育園に預ける事すら危険なのか」
「ええ。 なので、周辺の保育園や学校も臨時でお休みになってます」
紗友里さんには、川崎から伝えているので、今は部屋に籠っている。
保育園も学校も臨時で休みになっているみたいだし、それだけその男が狂ってるわけか。
「それで未だに捕まってないのか」
「その男、警察の気配があるとすぐに姿を晦ましていくようなので」
「えぐいな……。 やられた側は泣き寝入りか」
しかもその男は、警察の気配を察知するとすぐに行方を晦ましていくので、なかなか捕まらないようだ。
どうやって逃げ切っているのかは分からないが……。
「あ、刑事さん」
「どうもです。 改めてここの住民におかしな男がいたという……、って京也!?」
「へ!?」
そこに改めて刑事が来たようだが、俺の顔を見て驚いていた。
俺もそいつの顔を見て、ようやく思い出したのだ。
「お前、拓也か?」
「そうだよ! 高校以来か? 正幸は元気か?」
「ああ、何とか仕事をやってるよ」
正幸と同様に俺の数少ない友人の一人、東条 拓也。
高校時代は正幸と拓也の三人でよくつるんでたな。
まさか、刑事になってたとは……。
「先輩、知り合いですか?」
「高校時代の友人だ。 正幸とよくつるんでた数少ない友人さ。 それより、後輩から聞いたんだが周辺におかしな男がいるというのは」
「ああ、本当だ。 あの野郎、俺達が来るとわかったらそそくさと姿を晦ませやがる! 早く捕まえないと被害が拡大するのにな」
「周囲のモノを壊しながら喚き散らしてるんだっけか?」
「そうさ。 既に被害報告もされてるんだがな。 お前がかつて働いてたコンビニもガラスが割られたり、什器が壊されたりしたせいて暫く休業らしい」
「マジか……」
かつて俺が働いていたコンビニもあの男にガラスが割られたり什器を壊されたりして今は臨時休業だとか。
オーナーは無事だろうか……。
「とにかく何かが分かったらお前にも教えるし、そこの管理人の子にも教えるよ。 出来るだけ警察で解決するのがいいのだが、ここまで来るとな」
「分かった。 対策もしやすいし、気を付けるよ」
「本当に気を付けろよ。 じゃあ、また来るよ」
そう言って、拓也は去っていった。
あいつも刑事として結構苦労してるな……。
後で、飲み物を奢らないと。
「じゃあ、私も管理人室で籠ってます。 先輩も紗友里さんや奈々ちゃん達を守ってやってくださいね」
「ああ、もちろんだ」
周辺におかしな男が現れたと言う事で、紗友里さん母娘は恐怖に陥ってるかもしれない。
なので、何としても紗友里さん母娘を守らないと……。
川崎も聡君がいるとはいえ、不安だろうしな。
そう考えながら、川崎と別れて305号室に向かうのだった。
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