第71話 紗友里さん母娘の誕生日 ③
今回は短めです。
「私宛に届いた両親からのプレゼントは……、これですね」
「あ、これは……」
「座椅子ですね。 そういや紗友里さんは……」
「仕事もテーブル上でやってます。 マンションの部屋では専用の机を置くスペースがないので。 私の場合はノートパソコンがメインの仕事道具ですから」
紗友里さん宛のプレゼントは、座椅子だった。
冬さんも一目でそれが分かったようだ。
なお、紗友里さん曰く、引っ越す前は専用の机で仕事をしていたが、ここはそれを置くスペースがなかったみたいだ。
それでも紗友里さんは苦にしていないようで、流石だといえよう。
「とはいえ、この座椅子は一息入れるのに最適ですね」
「父さん達にしては珍しくまともな品だったな」
「達也?」
この座椅子は、紗友里さんには好評なようで、一息いれるのにも使おうと考えてるようだ。
しかし、達也の発言が恐ろしさを感じた。
おじさんは、まともなプレゼントを渡した事が無いというのだろうか?
「ま、まぁ、気を取り直して私達もプレゼントを渡しましょうか」
「そ、そうですね」
「あ、冬さんも京也さんもプレゼントを?」
「はい。 用意してますよ。 奈々ちゃんと佐奈ちゃんへのプレゼントもありますし。 取りに行ってきますね」
そう言って、俺は一旦304号室に渡す予定の誕生日プレゼントを取りに戻った。
使っていない部屋にそれらが保管しているからな。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「戻りました」
「あ、お帰りなさい。 丁度、冬さん一家からのプレゼントをもらった所です」
俺がプレゼントを抱えて戻ってくると、丁度紗友里さんが春日井君一家からのプレゼントを貰ったばかりだったようだ。
「春日井君一家からは、コーヒーメーカーを貰ったようです」
「丁度良かったのですよ。 古くなったので買い替えようかと思ってたので」
春日井君一家から貰ったコーヒーメーカーは、俺と一緒にショッピングセンターに行った際に冬さんが買ったものだ。
今、紗友里さんが使っているものの色違いの奴で、同型機だ。
「うさパパー。 なつなちゃんとじゅんくんからこれもらったー」
「かわいいー?」
「おー、紙メダルか。 似合ってるぞー」
「「わーい♪」」
一方で、奈々ちゃんと佐奈ちゃんは、夏奈ちゃんと淳くんが作ったとされる紙メダルを掛けていた。
可愛らしい形の紙メダルが似合っているので、褒めると嬉しそうにはしゃぐ。
その様子を見ている時に、紗友里さんは俺が置いた箱に気付いたようで、聞いて来た。
「それよりも京也さん。 それは?」
「あっと。 この箱が俺から紗友里さんへの誕生日プレゼントです。 こっちは奈々ちゃんと佐奈ちゃんへの誕生日プレゼントで」
「まぁ。 開けてもいいでしょうか?」
「ええ、もちろんです」
それらが紗友里さんや奈々ちゃん、佐奈ちゃんへの誕生日プレゼントだと教えた。
そして、紗友里さんは箱を開けてもいいかと聞かれたので、許可をする。
さて、これで喜んでくれるといいんだけどな……。
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