第62話 喫茶店、再び
「あれから調子はどうだ?」
「ああ、何とか持ち直したよ。 高岡商事との取引も再開したしな」
「そうか。 安心したよ。 あの息子がいなくなるだけでもマシになったんだな」
「そうだな」
未だに紗友里さんへの誕生日プレゼントに関するいい案が浮かばないままで、俺は気分転換に正幸と喫茶店で話をする。
あれから正幸が勤務する会社は何とか持ち直したようで、一安心といったところか。
「それと、俺さ。 社長の娘さんと付き合う事になったよ」
「おおっ、やるなぁ」
「俺が苦労している時に、彼女も手伝ってくれたしな。 その時に気が合ってな」
さらに正幸は、社長の娘さんと付き合う事になったという。
あの息子の不始末を対処する際に手伝ってくれたらしく、その際に色々話をしていたら気が合ったそうだ。
正幸もようやくスタート地点に立ったと言うべきか。
お付き合いという観点からだが。
「そういうお前の方も順調か?」
「まぁ、何とかお試し研修が終わったからな。 三連休の間に正式に配属する部門が決まるかな」
「なるほどなぁ。 桧山もそうだったって言ってたっけ」
「ああ。 彼女からもそう聞いてたしな」
ここら辺で俺の話題になったので、ようやくお試し研修が終わった事を言う。
今日は研修の帰りなので、明日からの三連休の合間に正式に配属される部門を教えてくれる。
感触的にはIT関連部門の方がいいかな?
前の職場もその部門で働いてたし。
桧山も入社当初はそうだったのだ。
研修の結果、IT関連部門の方が適任だとなったのだし。
「ところで、紗友里さんだったか? 彼女の誕生日プレゼント、決まったのか?」
「いや、まだだ。 三週間先なんだが、なかなか決まらなくてな」
「クリスマスとは訳が違うからな……。 やっぱり悩むか」
「ああ。 聞いた話じゃなんでもいいとは言ってたがな。 娘さんの方のプレゼントは決まったんだけど」
その後に紗友里さんの誕生日の件に入り、プレゼントは決まったのかと正幸に聞かれたが、まだ決まっていないと答えるしかない。
クリスマスイブの時とは違うからなぁ。
ちなみに編集の桜井さんにも相談したが、いい答えが得られなかった。
彼女もまた、相手にプレゼントを渡す機会がなかったらしい。
ともかくあと三週間後には、紗友里さんと奈々ちゃん達の誕生日なのだ。
奈々ちゃん達の分は決まってはいるんだがな……。
「まぁ、確かに誕生日プレゼントは難しいねぇ」
「マスターは、どんなプレゼントを渡したのです?」
頭を抱えて悩む俺に、喫茶店のマスターが声を掛けて来たので、俺は質問を投げかけた。
「誕生日は基本的に心の籠ったものをプレゼントするんだよ」
「心の……籠った?」
「そう。 年に一度のイベントだからね。 その人のためのプレゼントをね。 聞いた話じゃ彼女は何でもいいと言ってたみたいだね」
「はい」
「なら、ペンダントとかを考えてみたらどうだろう?」
「ペンダント……ですか」
ペンダントか。
紗友里さんが金属のアレルギーがないなら、それも視野に入れた方がいいだろうな。
その後で川崎にも相談するから、その答え次第でペンダントにしておこうかと思う。
「そうですね。 それも視野に入れます」
マスターにそう伝える。
そのマスターは、ニコニコしながらコーヒーを用意してくれた。
「まぁ、三週間あるんだし、ゆっくり考えようぜ」
「そうだな。 ゆっくり考えるよ」
正幸の言う通り、焦っても仕方がない。
紗友里さん母娘の誕生日まで三週間あるし、じっくり考えよう。
コーヒーを飲みながら、そう思うのであった。
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