第52話 2月14日 ⑥
「私からはこれですね」
紗友里さんから渡されたのは、ノートパソコンレベルの大きなものだった。
気になったので、速攻で封を開ける。
「これは、ノートパソコンですか……!?」
「はい。 ですが、都合上中古の物になってしまいましたが、それでも今のノートパソコンよりは新しくと思っています」
まさかのノートパソコンだった。
紗友里さんは、予算の都合上中古の物になってしまったと謝罪したが、今まで使っていたノートパソコンと比べたらスペックも凄そうだし、見た限り新品と変わりはない。
「って、これゲーミングノートじゃないですか!? 3Dゲームをするためのスペックの為に中古でも最低は10万はする代物ですよ!!」
「ええ。 京也さんが今後の為に高いスペックかつ手軽に持ち運べるノートパソコンを選んだんです。 確かに10万ちかくはかかりましたね」
「そんな代物を……、俺に……」
桧山が紗友里さんが俺に渡したノートパソコンがゲーミングノートであることに気付いて驚く。
ネットで調べたのだが、桧山の言うように中古でも最低10万はする代物だ。
紗友里さんは、そんなお金をはたいて俺の為に買ってくれたのだ。
「ありがとうございます、紗友里さん。 大事に使わせていただきます」
「ふふ、今後の為にとプレゼントしたので、使い込んでも大丈夫ですよ」
ここまでしてくれる紗友里さんの優しさに泣きそうになるのを堪えて、お礼を言う。
こんなに個人的にスケールの高い誕生日プレゼントは貰った事はなかった。
なので、大事にしつつ仕事や趣味に使い込んでおこうと思う。
確かに今のノートパソコンは、一昔のスペックだし、これからの仕事では不安があったからな。
「よかったねー、うさパパー」
「よかったねー」
「ああ、すごく嬉しいよ」
その様子を見た奈々ちゃんと佐奈ちゃんも笑顔で俺にそう言う。
やっぱりこの幼女は天使だなぁ。
「じゃあ、次は奈々と佐奈ね」
「「はーい!」」
最後は奈々ちゃんと佐奈ちゃんか。
幼い子からもプレゼントがもらえるとは、ある意味幸せものかもしれないな。
「はい、うさパパ」
「さなとななからは、これだよー」
「おおー、手作りの紙メダルですねー。 可愛らしい形ですよ」
「一生懸命作ったのが分かるなぁ。 京也兄さんの似顔絵が書かれてるし」
奈々ちゃんと佐奈ちゃんからは、手作りの紙メダルだった。
二人なりに一生懸命作ったのが俺でも分かる。
しかも、俺の似顔絵付きだ。
川崎と達也も、同じ感想だしな。
「二人ともありがとうな。 掛けていいかな?」
「うん!」
「いいよー」
幼い二人に許可を貰い、首に手作りの紙メダル二つを掛ける。
奈々ちゃん達の思いがその紙メダルから伝わってくる。
「似合ってますよ、先輩」
「京也さん、よかったですね」
「ええ、嬉しいですね。 奈々ちゃん、佐奈ちゃん、ありがとう」
「「どういたしましてー♪」」
二人の頭を撫でながら、お礼を言う。
奈々ちゃん達も笑顔で応えてくれる。
こういうのは、幼い子にも好かれなければ貰えない代物だからな。
大事にしておかないと……。
「それじゃあ、京也さんの部屋にプレゼントを運びましょうか」
「そうですね。 ノートパソコンとかは特に」
プレゼントを貰い、俺の部屋である304号室にノートパソコンを持っていく。
紗友里さんがマウスとコントローラーなどを持ってもらい、テーブルに置いてから305号室に戻り、いつものように奈々ちゃん達と戯れる時間に入った。
なお、川崎や桧山からは友チョコを貰った事も言っておくか。
今日はバレンタインでもあるからな。
こうして、俺の誕生日パーティーは、無事に終わることが出来たのだった。
今までよりも最高の誕生日だったなぁ。
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