第51話 2月14日 ⑤
「お、これはネクタイか?」
「クリスマスイブ以来の新たなネクタイですね」
桧山から貰ったプレゼントの中身はネクタイだった。
出社の際や、朱里の出版会社に出向く際に必要になるからネクタイの数は多いほうがいい。
これはありがたい。
「先輩は明後日からエンタメ部門にお試し勤務になるので、顔合わせも多くなるかと」
「あそこは俺には向かないけど、やるしかないだろうな」
「私も通った道ですからね。 厄介ファンの対処とかかなり面倒でしたよ」
「まぁ、何かあれば相談しに来てください」
「とにかく、ありがたくネクタイを貰っておくよ」
そうなのだ。
達也の会社の中にある『エンタメ部門』には明後日からお試しで入ることになる。
その後、家電部門を経験してから、どれが相応しいのかを各部門のリーダーと交えて決めるようだ。
桧山も通った道らしいし、俺も頑張るしかないか……。
しかし、厄介ファンねぇ。
俺が対応できるのだろうか、そこが不安だな。
「さて、次は私達ですね」
「僕たちからはこれです」
「どれどれ……?」
次は川崎と聡君からのプレゼントだ。
こっちはある程度の大きさが保てた箱なのだが……、中身は何だろうか?
「お、これはライトノベル一式か?」
「先輩のWEB小説が書籍化されたって聞いたので、次回の新作の参考になれるラノベをと」
「ああ、確かにな。 次の新作のネタにもってこいだな。 ありがとうな」
川崎と聡君が合同で渡されたプレゼントは、ラノベ一式だった。
俺の作品が書籍化された事は、川崎も知っているようだった。
桧山か紗友里さん辺りから聞いたのだろう。
ともかく、新たな作品作りの為に、別の作者さんの作品も見ておく必要があるから、これはありがたいな。
「では次は私達からのプレゼントね。 達也兄さんと一緒に買っておいたの」
次は達也と朱里からだ。
30年ぶりの誕生日プレゼントを渡すのだが、緊張しているみたいだな。
さて、中身は……?
「これは、マウスとマウスパッドか? 後、ゲーム用のUSBコントローラーもあるな」
中身は、新しいマウスとマウスパッド、そしてゲーム用のUSBコントローラーだった。
「まず、京也兄さんのマウスとマウスパッドは、見た限り使い込んでたのでそろそろ新調したほうがいいかなと思いまして。 ゲームコントローラーはおまけですね」
「ああ、確かにWEB小説更新とかで使い込んでた気がするな。 マウスとマウスパッドの調子も心なしか良くなかったし。 ありがとうな」
ゲーム用のコントローラーはおまけだが、マウスとマウスパッドはこの間達也と遭遇した際に不意に達也がチラッと見たようだった。
そこでマウスとマウスパッドが使い込んでいた事を知り、急遽買ったのだろう。
確かに調子も悪かった時もあったし、こっちも有り難いんだよな。
「うさパパ、にんきものだねー」
「すごいすごーい♪」
「ははは、ありがとうな」
そんな様子を膝の上から見ていた奈々ちゃんと佐奈ちゃんもはしゃいでいる。
頭を撫でながら、俺も嬉しそうに笑顔を向けていた。
「あ、正幸さんは急遽俺が呼んだので、プレゼントは持って来てません」
「悪いな、京也」
「いや、あんな状況の中でよく来てくれたよ」
正幸に関しては、達也が急遽呼んだので、プレゼントは用意していない。
それでも、あんな状況の中で来てくれたのだ。
責めはしないさ。
「じゃあ、次は私達母娘からですね。 まずは私からです」
そして、ある意味メインの紗友里さん母娘からのプレゼントが渡されようとしていた。
まずは、紗友里さんだがどんなプレゼントなのだろうか……?
よろしければ、広告の下の評価(【☆☆☆☆☆】のところ)に星を付けるか、ブックマークをお願いします。
作者のモチベーションの維持に繋がります。




