第43話 紗友里さんの所にも来た『あの話』
「あれ、達也?」
「あ、京也兄さん」
正幸と喫茶店で話をした翌日、今日は仕事が休みなので奈々ちゃん達と戯れるために、305号室に向かう為に玄関のドアを開けた瞬間、達也がいたのだ。
「お前がここに来たという事は、紗友里さんに何かあったのか?」
「そうですね。 アフターフォローですかね。 まぁ、その当時は即座に俺に相談してくれたのですぐ対処できたんですが」
紗友里さんに何かあったのかが気になったので達也に聞いてみたところ、紗友里さんのアフターフォローの為に来たようだ。
どうも何かあったようだが、その際にすぐに達也に相談した事ですぐに対処できたらしい。
だが、念のためアフターフォローをしに達也は来たようだ。
「そういう兄さんは? 今日は休みですよね……って、だからですか」
「察するな! まぁ、当たっちゃいるがな。 紗友里さんと奈々ちゃん達の所に行くんだよ」
「ふむふむ。 なら、行きましょう。 紗友里当人からも話した方がいいでしょうし」
色々からかわれていた気がしなくもないが、達也と少し話をしたところで、305号室のインターホンを鳴らす。
「あ、京也さん。 それに達也兄さんも」
紗友里さんが玄関まで出迎えに来た。
達也もいる事にも驚きはなかったようだし、来ることは知ってたのだろう。
「奈々ちゃんと佐奈ちゃんは?」
「まだ寝てますよ。 起こしますか?」
「いや、先に何か辛い目に遭っているのかを聞きたいので。 丁度達也がアフターフォローの為に来たみたいですし」
「そうですね。 では、上がってください」
「では、お邪魔します」
どうやらまだ奈々ちゃんと佐奈ちゃんが眠っているので、まず達也がアフターフォローに来ている理由を話してもらう事にした。
ひとまず上がらせてもらおう。
「ご飯は娘が起きてから用意するので、今はコーヒーでも」
「ええ、ありがとうございます」
紗友里さんは三人分のコーヒーを用意したようだ。
ご飯の方は奈々ちゃんと佐奈ちゃんが起きてから用意するとのこと。
「実は、三日前にある会社から酷い依頼があったんですよ」
「酷い依頼……?」
そして、紗友里さんはすぐに何があったのかを話し始めた。
どうも、ある会社から酷い依頼があったようだ。
そこで俺は昨日の正幸との話を思い出し、一応確認の為に聞いてみた。
「その依頼って、無償でデザインを作れとか言う話ですか?」
「ええ、そうなんですよ」
予感的中。
正幸が勤務している会社の社長の息子が紗友里さんにも酷い依頼をしていたようだ。
聞いた話、あの息子はフリーランスを見下していたって聞いてるし、紗友里さんもフリーランスだから嫌な予感はしてたんだ。
「京也兄さん、なぜそれを知って……?」
「ああ、実は昨日、友人が愚痴を言っててな。 それによって一社の取引が終わる羽目になったって言ってたな」
「京也兄さんの親友さんが勤めてる会社だったのですね。 確かにそれを聞いた後、俺はそことの取引を中止すると言ってましたが、社長と娘さんがまともだったので、息子を何とかするまでの一時的措置としましたよ」
「だが、あの息子は反省するどころか俺のダチや他の社員、そしてフリーランスのせいにしているようだ」
「責任転嫁もここまで来ると……、呆れますね」
「私も同感ですよ。 そこの社長さんと娘さんが可愛そうで……」
俺は何でそれを知っているのかという理由を達也に打ち明けた。
話を聞いた達也と紗友里さんは、社長の息子に呆れつつも社長と娘さんの苦労に同情をしていた。
「しかもその息子、今は破産法申請してる【TT商事】と繋がってる可能性もあるって噂だ」
「あの会社絡みですか……。 納得ですね」
そして、息子があの会社と繋がってると言う可能性も伝えると、達也が納得した様子を見せた。
やっぱり、【TT商事】はろくな会社じゃないって事か。
あのリクルートサイトの運営に関わってたみたいだし。
「私は即座に達也兄さんに相談したので、ダメージは小さかったんですよ。 すぐに対応してくれましたし。 達也兄さんも朱里姉さんもいい年してシスコンですから」
「ああ、分かります」
「紗友里、京也兄さん!?」
「ただ、紗友里さんは前の夫の件もあるからでしょうね」
「ああ、成程……」
幸い、すぐに達也に相談したのでダメージは小さかったようだが、前の夫の件もあってか達也はかなり敏感になっているようだった。
それを差し引いても、ブラコンは流石に引くのだが……。
「おっと、そろそろ奈々ちゃん達が起きるかな?」
「そうみたいですね。 もぞもぞ動いてるみたいですし」
そんな事を話していたら、奈々ちゃん達がそろそろ起きるらしいので、隣の部屋に紗友里さんと行くのだった。
そもそも今日は、奈々ちゃん達とも遊ぶために来たのだからな……。
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