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冴えない底辺アラフォーの俺は、お隣さんの母娘に愛される  作者: イズミント


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第24話 幕間③~二人の後輩女子・その2~

「へぇ、宇佐美先輩が転職かぁ」


「コンビニだって立派な職場なんだけどね。 オーナーさんが色々計らいをしてくれてるみたい」


「なるほどね。 大家の仕事をしている唯ちゃんがいうんだから、間違いないね」


 私、川崎 唯は現在の私の住処であるマンション一階に構える大家の部屋に前の会社の同期で友人の桧山 友梨佳ちゃんを招いて新たな話題に花を咲かせていた。

 今日は12月23日。

 この時の先輩は、ショッピングセンターに向かっている所だ。


「そういや、三連休貰ったって本当?」


「本当だよ。 これもオーナーが計らいをしてくれたからみたい」


「じゃあ、先輩はあのシングルマザーの人と仲良くなれるチャンスじゃない?」


「結構進展してるっぽいよ。 娘さんにも懐かれてるし、何より毎日先輩の分のご飯を作って貰ってるって」


「ほぼ通い妻じゃん。 やるねぇ、あの先輩は」


 そう。

 高岡さん母娘が305号室に入居してから、高岡さんと宇佐美先輩は仲良くなった。

 305号室にはブレーカーの位置が、他の部屋と違う場所にあったらしく、このままでは電気が使えないという事で当時の祖父に聞こうとしたら不在だったので先輩に頼んだのがきっかけだ。

 それを見た娘さんも先輩に懐いたようなのだ。


「それで、先輩の転職先は?」


「偶然再会した高岡さんの歳の離れた兄の会社らしいよ。 あの人の兄と姉が先輩とは小学生まで一緒だった幼馴染みたいだし」


「そうなんだ。 っていうか、転職先って私が働いてる会社じゃん!」


「え、そうなの!?」


「うん。 そこのIT部門で私は働いてるんだよ。 福利厚生もかなり厚いし、限定的ながら副業もOKみたいだし」


「うへぇ、初めて知ったよ。 先輩の転職先に友理奈ちゃんもいるなんて」


 先輩の転職先を教えると、友梨佳ちゃんは食いついた。

 何と、今回の転職先は友梨佳ちゃんが先に転職して働いている会社なのだ。

 話が前後したが、あそこは先輩とは偶然ながら30年ぶりに再会した小学生までの幼馴染だという。

 高岡さんはその二人とは歳の離れた妹なのだ。

 彼女の兄と姉が会社を運営し、妹の方は多数の案件を受け持っているフリーのイラストレーターがメイン。

 最強すぎやしませんかね……。


「あの会社に先輩が来るんなら、私は楽しみだねー」


「アレの呪縛が解けた先輩が一皮むけるのに関しては私も楽しみだよね」


 友梨佳ちゃんも楽しみにしている。

 そういや、再会してないのって友梨佳ちゃんと小谷先輩くらいかな?


「アレって……?」


「憎き【TT商事】の事。 最近、強制捜査が入って、ほぼ全ての幹部などが逮捕されたんだって」


「初耳だよ……」


「私も先輩から聞くまで知らなかった。 大家の仕事で忙しかったしね。 奴らによって退職に追い込まれた一人が最強弁護士を雇って警察に詰め寄ったんだって」


「あの弁護士の女性だね。 ある財閥や大物政治家とも知り合っている二代目最強弁護士の……。 そりゃあ勝てないよ」


 そして、憎き【TT商事】が強制捜査に入り、多数の幹部が逮捕された事についても触れた。

 私とは別で友梨佳ちゃんも知らなかったみたい。

 ただ、どうしてそうなったかを説明したら友梨佳ちゃんも納得していた。


「ともかくこれであの学歴主義の会社もしばらくしたら終わりだよ。 まぁ、強制調査に入る前に、取引先の激減による経営悪化と取引先の一社による不正の煽りで破産申請に入ってたみたいだけど。 買収された会社も巻き込まれて終わるのは悲しいけどね」


「まぁ、浸透されちゃったし、反発する社員は辞めてるからね。 成り立たないのはしょうがないよ」


 ただ、【TT商事】が終わるのはいいとしても、敵対的TOBで買収された会社もろともなのは悲しいかも。

 まともな社員は転職しているし、保てなくなってるのはわかるけどね。


「そういえば、今先輩はどこに?」


「ショッピングセンター。 高岡さんと娘さんへのクリスマスプレゼントを買うみたい。 相談もされたしね」


「ほほぉ、これはかなり脈があるとみた」


「私達もクリスマスの日に彼氏とどう過ごすか、考えないといけないよ?」


「うぐぅっ!?」


 とまぁ、こんな感じの話で私達は盛り上がった。

 宇佐美先輩も高岡さん母娘にクリスマスプレゼントを買いに行ってるみたいだし、私も友梨佳ちゃんも彼氏とどうクリスマスで過ごすか、考えないとね。


 こっそり先輩の事を応援しつつ……、だけど。



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