第14話 母娘とのひと時と新たな情報
「うさおじちゃん、おえかきできたよー」
「みてー」
「おお、二人とも腕を上げたなぁ」
「「えへへー♪」」
高岡さんが住む305号室で朝食を摂った後で、少しだけ奈々ちゃん達と遊んでいた。
絵本を読んだり積み木などで遊んだりもしてるが、相変わらずメインはお絵かきだ。
この辺りは、母親でイラストレーターのの高岡さんの影響なのだろうなと改めて思う。
しかも、この間よりも絵が上手くなってるし……。
「宇佐美さん、すみません。 今夜も仕事なのに娘の面倒を」
「いや、構いませんよ。 いつも食事を作っていただいてるので」
高岡さんがお茶を持って部屋にきた。
確かに今夜もコンビニの夜勤なのだが、折角奈々ちゃんと佐奈ちゃんの顔を帰りに見れたので遊んであげたいと思ったからだ。
WEB小説も4日先まで予約投稿してるからね。
「折角ですし、今度は主人公とヒロインのツーショットを描いていいですか?」
「それもファンアートとしてですか?」
「ええ」
「でしたらぜひ、お願いします。 この間のファンアートも保管してますし」
「喜んでいただけて何よりですよ」
その流れで今度は主人公とヒロインのツーショットイラストを描いてくれるのだそうだ。
今回もありがたく受け入れようと思う。
どんなイラストを描いてくれるかは楽しみだしね。
「あ、そうそう。 兄や姉には今夜相談しておきますね。 宇佐美さんの話を交えてですが」
「そちらもお願いします」
そして、生活も落ち着いたのか、今夜にも俺の件で彼女の兄と姉に相談してくれるそうだ。
少しでも光が見えるならば、それに頼ろうと思う。
42という年齢がネックになるだろうが、少しでも多くお金が入って食えるようにしたいし、高岡さんとも長く付き合いたいし。
そんな感じで、昼の1時になるまで奈々ちゃんや佐奈ちゃんと遊んだりしていたのだ。
ちなみに昼食も作ってくれたので、美味しくいただいた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「お疲れ様です」
「あ、宇佐美さん。 今日も頑張りましょう」
そして夜。
電車通勤先のコンビニでもう一人のスタッフと夜勤をスタートする。
実はここのコンビニは、夜勤も二人体制なので安心して仕事は出来るが、客数はマンション近くのコンビニより多い。
そのため、作業が夜中に溜まるために、二人体制を敷いているようだ。
客数が急激にいなくなる2時頃に一旦休憩に入る。
その際にどうも正幸からメールが来たようなので、メールの内容を見ていく。
『川崎から聞いたが、お前さんとんでもない形になっちまったようだな。 あいつらのせいで。 助けてやれなくて悪かった』
まず、川崎から聞いた話とそれに関する謝罪だ。
これに関しては責める事はしない。
あいつらが狡猾に頭を使って、かつ俺を底辺として扱ったのだから。
『でだ。 あの会社、そろそろ破産申請に入るみたいだぜ。 何とか繋がっていた取引先が不祥事を起こして、家宅捜査に入ったらしい。 その影響で、取引もできなくなったのが止めとなったようだ』
あの会社……、ついに破産に近づくのか。
繋がっていた取引先の会社の不祥事が原因らしい。
家宅捜査に入れられて、証拠なども掴まされてる為に、会社として維持するのが無理となった事で、前の会社も連鎖したみたいだ。
しかし、よく警察が調査に入れたものだな。
確か聞いた話じゃバックの政治家を使って労基やら警察やらに圧力を掛けていたって聞いたが。
気になったので、俺は一度メールで質問する。
あいつは、基本的に夜中の3時まで起きてるからな。
『だが、よく警察が踏み込んだな。 圧力を跳ね除けて』
すると、やはりすぐに返信が来た。
『俺はまだ詳しい話は聞いてないが、お前みたいな形でに退職に追い込まれた女子がある行動をしたって話だ』
マジか。
あの女子も行動力があるなぁ……。
これは続報待ちか?
そう思いながら、メールの続きを見る。
『今回の件は氷山の一角だが、それに関連してあいつらの本社も破産するみたいだ。 本社や敵対的TOBで買収した会社にも捜査のメスが入るかもだし。 とはいえ、あいつらがこれで反省することはないだろうから、気を付けておけよ』
メールの内容はそんな感じだった。
あいつらの本社も破産申請したというが、あの一家共の事だ。
反省はぜずに、俺などに報復とかしてくるだろうから、気を付けろと言う警告もあった。
一通り見て、俺はスマホをロッカーに入れる。
そろそろ休憩も終わり、作業に入るからだ。
「さて、ここから大変だな……」
俺は背筋を伸ばしながら、溜まっている作業を相方と一緒に片付ける事にした。
今回も何とか6時までに終わることが出来たのだった。
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