第23話 囚われた姫を救え
『ネロ』
姫様を探し続けた私は、ついに勇者の居場所をつきとめた。
王から授かった兵士達が、勇者の居城をとりかこむ。
すると、相手の方から先に出てきたようだ。
勇者アルトだ。
「姫は渡さない」
ダンジョンから出てきた勇者からは、魔王に匹敵する、いやそれ以上の殺気があふれ出した。
猛獣に睨まれた小動物達のように私達は、体を固くする。
だが、皆王家に忠誠を誓った身。
命の使いどころはとっくに決めている。
「姫様を助け出すのだ!」
兵士たちは魂を奮い立たせ、大声で己を鼓舞。
一斉に襲い掛かった。
しかし。
「遅い」
さすが勇者。
何十年もその道で鍛えてきた兵士達を苦も無く叩きのめしていった。
この分では、数分も持たないだろう。
けれど、こちらには秘策がある。
風向きを確認して、立ち位置を調整。
「勇者! これが切れるか!」
私は、それをなげた。
小さな瓶だ。
私の言葉に誘導された勇者は、それを剣で切られては困る物と判断したはず。
だから、あえて切るはずだ。
その小さな瓶の中身を知らぬまま。
「っ!」
真っ二つに割った瓶から粉があふれ出す。
猛毒と麻痺毒と、五感をおかしくする薬や、心をおかしくする薬が入っている。
魔王を倒した勇者も人間だ。
薬を吸い込んだ後、その場に倒れ伏した。
これで、姫様を助けられる。
兵士達は、ゆっくりと倒れた勇者に近づいていった。




