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肥満が理由で幼馴染にフラれた俺を「理想の男」に育て上げた女友達が焦っている  作者: タラの芽
新章第一 新生「デ部」のスタート
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1話目 新生「デ部」始動

 凜菜の家に純礼すみれが飼う仔猫を受け取りに行く用事のはずなのに、指定の駅に到着して出迎えたのは巳造みつくり1人だけだった。



「あれ、凜菜は?」


 僕が訊ねると巳造みつくりは眉尻を下げた。



「寝てる」


「・・・もう昼なんだけど」


「休日は大抵昼まで寝てるんだよ、あいつは」



 巳造みつくり曰く、今日は早く起きるよう口を酸っぱくして注意をしていたみたいだけど、それでも起きることはなかったみたいだ。



「それよりも、お前達が並ぶと圧巻だな」



 巳造みつくりは僕の背後に並ぶ妃紗ひさ純礼すみれ、あーちゃんを見据えて深い溜め息を洩らした。妃紗ひさが横に並び、イケメン巳造みつくりと向かい合う。




「こうしてきちんとお話をするのは初めてね、巳造みつくり君」


「俺はよくのぼるから妃紗ちゃんの話を聞いてるから、一方的な知り合いって感じで違和感があるけどな」


「アンタ、変な事喋ってないでしょうね」


 ギロリと(妃紗)睨まれたので、「う、うす、大丈夫っす」とコクコク頷く。



「さすが俺らの代のミスコンは貫禄があるな。ミスコンというか女王様みたいだ」


「僕は差し詰め家来ですな」


「や、やめてよ巳造みつくり君。これからそうやってイジられるのは嫌なのよ。アンタも乗っからなくていいの」



 慌てた様子で妃紗ひさ巳造みつくりが面白がって笑う。なんだか普段はあまり見られない妃紗ひさの反応が新鮮でこっちまで可笑しくなってくる。



「そんで、後ろの犬爪ちゃんはどうしてあんな遠くに離れてるんだ?」


「おん?」


 そう指摘されて後ろを振り返ると、確かに数歩離れた距離であーちゃんと手を繋いだ純礼すみれが突っ立っていた。会話に参加するタイミングを完全に失ったしまったようで、そこら辺のオブジェクトと同化している。



「お前さ、引っ込み思案を克服するんじゃなかったの?」


「あ、うん」


 純礼すみれが一歩一歩と近づいてくる。ただし、あーちゃんの先導により引っ張られて連れて来られているようにも見えた。



「・・・あの、犬爪です・・・」


「あぁ、巳造みつくりです・・・」


「「・・・・・」」



 なんだこれ。


 まさか僕の幼馴染がここまでコミュ障だとは思わなかった。


 妃紗ひさが乾いた笑い声を出す。



「あはは・・・純礼すみれはアンタ以上に厄介な部員みたいね」


「まぁ、そうかも」



 この先が少し思いやられると妃紗ひさも思ったかもしれない。



「それで、こっちが噂に聞く『あーちゃん』だな」


「そうそう。純白の天使あーちゃんだよ」



 巳造みつくりはあーちゃんの前でしゃがみ込み、目線を同じ高さまで合わせた。その動作がいちいち板についていてあーちゃんを誘惑する悪男にみえたので正直イラッとしました。



「お兄さんの友達の西しずむです、よろしくね」



 満面の笑みで巳造みつくりがあーちゃんの頭の上に手を置こうとした。


 僕の許可なしにあーちゃんに触れるんじゃない!って注意をする前に、あーちゃんがその手をパシンと払い除けたので、巳造みつくりは振り払われた手を呆然と見つめた。



「きやすくさわらないで」



 あーちゃんがそう言い放ち、僕の足に抱きついてきた。


 見たか巳造みつくりよ、あーちゃんは気高い生き物なのだ。いくらイケメンだからといっても馴れ馴れしい態度は通用しないのだよ。



 巳造みつくりはただ「・・・えっ?」と洩らした。



◇◆◇



 無事平穏に顔合わせが終わったところで、一同は目的である凜菜の家に向かった。


 駅から歩いて数分のところに、2人の家が並んで立てられていた。



 「居酒屋 きょう」が凜菜の実家で、その隣の「巳造商店」がそのまま巳造みつくりの実家。


 話には聞いていたけど本当に隣同士に並んでいるんだな、と感動した。



「今ランチ営業で小父さん小母さんも忙しいと思うから、一度俺の部屋に来いよ」


 巳造みつくりに案内され、家の中に上がる。何気に男友達の部屋に入るには初めてなんだかドキドキしちゃう♡


 想像通り、部屋の中はフローリングで小綺麗にされていた。広さは6畳なので、5人も人がいると流石に狭い。



「窓の向かいが凜菜の部屋になってるんだ。今起こすから待ってろ」


「部屋まで向かい同士なんて凄いわね・・・」と、最早呆れる妃紗ひさ


「あ、あの、起こすって、もしかして窓からぴょんって飛び越えたり、するの?」



 興味があったのか、辿々しくではあるけど純礼すみれ巳造みつくりに問いかけた。



「そんな危ないことしねーよ。コレで窓を叩くんだ」



 巳造みつくりが手にしたのは長い突っ張り棒だった。それを凜菜の部屋の窓にカツンカツンと叩いて音を鳴らと、くもりガラスの窓越しから何か陰がモゾモゾと動いた。


 てっきり窓からベランダに飛び移って起こす、みたいなアニメでよくある展開をイメージしてたけど全然違った。


 陰が窓をガラガラ開けると、ヨレヨレのシャツ姿の凜菜が目を擦りながら「おはよー」とあくびをした。


「おい、凜菜。もう皆来てるぞ」


「えー今日は日曜日だよぉ・・・」


 だんだん目が冷めてきたらしい凜菜が、目を見開いて「あっ!」と大きな声を出したので、それに驚いた純礼すみれの身体がビクって跳ねたのがなんだか可笑しかった。



蛇足かと思いましたが、続きを投稿する事にしました。


ただ、新シリーズを始めたのだ今後はそちらを中心に執筆する予定のため、更新頻度はだいぶ落ちると思います。

なので、過度な期待をせずに片手間に楽しんで頂ければ幸いです。


新シリーズもよろしければご覧ください↓↓


https://ncode.syosetu.com/n5446gn/

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