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「王の目」   作者: 風上壱悟
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序幕

 この世界には、大きな二つの大陸がある。

 たった一人の王が治める東の大陸、スタン・イー。そして様々な国が共存する西の大陸、スタン・ウエ。

 その大陸を結ぶトラル・セン海峡に位置するのは、治安維持軍の本部基地である。


 治安維持軍、通称安軍は文字通りこの世界の治安を維持する軍隊である。

 その昔は陸軍、空軍、海軍という三つの軍隊がこの世界にはあった。

 だが、ある日突然、海が荒れ、船が出られない様になってしまった。

 それ以降、海軍は完全に消滅し、陸軍に吸収され、治安維持軍という名前になったのだ。


 そして、唯一残った空軍も、いずれ吸収されると目されていた。

 しかし、空軍が無くならないのには理由があった。


 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「号外号外ー!」


 西の大陸のとある国。

 海に面した、シーラン国。小さな港町、トーポ。

 新聞を配る声が響きわたる。


「今日も出たよ赤翼のディーヴァ!!」


 新聞の一面を飾るのは真赤な飛行艇。


「赤翼のディーヴァねぇ…」


 カフェテラスのテーブルに新聞を広げる女が小さく呟く。

 雫型のピアスが、太陽光を浴びて青く輝いた。


「せきよくって何ですか?」


 傍らでパフェを頬張る少年は、パチパチと黄金色の瞳を瞬かせる。

 少年の言葉に、顔に傷のある青年が答えた。

 答えながら、テラスに置かれたスティックシュガーやシロップ、コーヒーフレッシュをつまんで橙色の袖口に隠す。


「赤い翼ってことだよ」

「鳥さんですか?」

「鳥さんじゃなくて、飛行機だよぉ」


 首を傾げる少年の頭をなでながら笑う、桃色ひらひらの服を着た少女。

 すると、向かいから手が伸び、少年の口についたクリームを拭う。



「もう少し綺麗に食え。」

「ありがとうございます」


 少年は向かいに座る強面の男に礼を言い、笑う。

 男は、黒い瞳を優しげに細めた。


 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 青い空を横切る赤い翼。

 それを追う空軍の飛行機。


「AF-6より空軍本部。ターゲットを確認しました。」

「空軍本部よりAF-6。そちらに増援部隊を送る。」


 空軍の飛行機をひらりひらりとかわす飛行艇。


 追いかけても捕まらない、銃弾一つも当てられない。

 そんな真赤な飛行艇に乗るのは、今世間を騒がせている「赤翼のディーヴァ」。俗に言う義賊だ。

 空軍が安軍に吸収されずにいる理由は、この義賊の存在にある。


「AF-6より空軍本部。増援部隊が到着しました。」

「空軍本部より全戦闘機に告ぐ!ターゲットの生死は問わない!必ず撃ち落とせ!安軍どもに俺たちの実力を見せつけてやれ!」


 青い空を黒い翼が埋め尽くした。


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