銃と二刀流と煙草
「はい、一万くれ」
茶髪を短く整え、ピシッとスーツを着た女性は、向かい合った男性にお金を請求していた。
「………稔、今月に入って何本目だ?」
青髪の、こちらもスーツをビシッと決めた男性は、呆れながら稔と呼んだ女性に質問した。
「良いから、寄越せよ一万」
「質問に答えたらあげるよ」
「言ったな?淳」
淳と呼ばれた男性はゆっくりと頷いた。
稔は、真っ直ぐに淳の目を見つめ、言った。
「4箱と半分だ」
「はい、アウト」
淳は帰れと言わんばかりに手をシッシッと動かした。
「何でだよ!ちゃんと質問に答えただろうが!」
「ふざけんじゃねぇ!4箱と半分ってお前ヘビースモーカーじゃねえかよ!馬鹿じゃねぇの!」
「前々から言っただろうが吸う量増えるって」
「増えすぎだろうが!何で1ヶ月で4箱も吸ってんだよ!肺炎で死ぬぞ!」
ギャンギャンとお互いに周りを気にせず言い分を言い合い続けること約5分。
「失礼しま……」
黒髪に眼帯を付け、黒い戦闘服を着た男性が部屋に入ってきた。
が、当然の事ながら現在進行形で口喧嘩勃発している中に入ることができない為
「お邪魔しました」
とドアを閉めようとした時だった。
「「待て!!明!!」」
二人同時に呼び止められ、明は体をビクつかせながら、室内に入った。
「…二人揃ってどうしたの?」
「どうしたもこうしたもねぇよ…」
「実は、このわからず屋が…」
淳と稔は、お互いの言い分と喧嘩の理由を説明。
「そっかそっか、そぅいうことがあったんだね」
明は少し考え、ある事を口にした。
「じゃあさ、僕が場を収めても良いかな?」
淳と稔は少し驚いたが、過去に明にリーダーを任せてた為、ここは頼んでもいいだろうとお互いに了承した。
「はい、まず稔には一万円渡すから煙草買ってきなよ」
「良いのか?明」
稔は少し受け取るのを戸惑ったが、明が「大丈夫だよ、使っても」と言うのでありがたく頂くことにした。
「でも、吸いすぎには気をつけてね、僕もたまに煙草は吸うけど、多くて3本くらいだからさ」
「分かったよ、少しは吸う量減らすよ」
稔は、満足したように「じゃあな」と言って部屋を出た。
「済まないな、明」
「え?大丈夫だよ、平気平気」
淳は申し訳ないと言う気持ちで胸がいっぱいだった。
明は、全然大丈夫と言わんばかりの笑顔を浮かべ淳を見る。
「それに、淳は僕らのリーダーなんだから下ばかり向いてちゃダメだよ?」
「あぁ、そぅだな…それよりも明、なにか報告することがあるんじゃないのか?」
明は、はっとした表情をして手に持っていたファイルを淳に見せた。
一方その頃、稔はと言うと
「……………」
喫煙室でぼんやりと煙草を咥え、青空を見ていた。
「あ、稔?」
「おぅ、俊か」
白髪に両目を覆うように包帯を巻き、白色のパーカーを着た青年が、喫煙室に入ってきた。
喫煙室まで手を引いてくれた人に「ありがとうございます」と深々と頭を下げて、椅子に座った。
「…俊、火ぃ貸してくんねぇか?」
「はい、ついでに俺の煙草にも火付けてくれない?」
稔は、渡されたライターを借りて自分の煙草に次に俊が持っていた煙草に火をつけた。
「サンキュ」
「こちらこそだ、火種が欲しかったからな」
2人は、煙草を吸いながらお互いの近況を話し合った。
「なぁ、稔」
「なんだ?俊」
「暗黒世界の事なんだけどさ」
俊は、ココ最近になって暗黒世界で起こり始めた事態を話した。
悪魔以外の怪物が現れ始めた事。
人間界に似た場所が希に現れること。
そして、日を追うたびに敵が強くなっている事。
「確かに、ココ最近は状況がかなり厳しくなってきたな」
「俺も、目の能力と神々の能力を使ってるけどそれでもやっと倒せるくらいだ」
「親父さんの遺産か……」
俊は、黙って頷き眼に巻かれた包帯を外した。
紫色に両眼が妖しく煌めき、稔にその眼を向けた。
「…見えるんだよな?コッチの世界でも」
「うん、確かに見える…けど、上層部である仲間だけだよ見せるのは」
「神々の能力者達のみか…」
神々の能力者達、かつて淳や稔、明達が世界と人類の滅亡から救うために使った能力。
発現条件は不明だが、淳曰く「何かしらの強い感情が能力を引き出しているんじゃないか?」と語っている。
実際に、淳達の場合は大切な人を護りたいと言う強く硬い感情を持った時に発現している。
だが、その反面で黒田の場合は別である。
黒田の場合「僕は、悪魔に襲われた時に「自分はここで死ぬ」って言う死ぬ覚悟を決めたんです、そしたらこの能力に目覚めました」
と言っている。
その為、何らかの強く硬い感情が能力を発現させていると言うのは本当なのかもしれない。
「稔、今日の探索メンバーは淳と稔だからな頑張って行ってこいよ」
俊は、包帯を巻き直し始め後ろで留めた。
「じゃあ、また後でな」
「良いよ、送ってく」
「済まないな」
稔は、俊を連れてデスクに向かった。
その日の夜、午前零時
「行くぞ、稔」
「おぅ、行くか」
「ってか…飛び道具の準備万端なんだな」
「当たり前だろ、お前を護るためだったら何でも」
見ると、稔は背中にアサルトライフルとショットガンを1丁ずつ背負い、腰にはサバイバルナイフが1つとリボルバー拳銃が2丁その他にもショルダーバッグの中には手榴弾、火炎瓶、C4、トラップを作る小道具が詰め込まれている。
「…せめて、そのバックは俺が持つよ、ほら寄越せ」
「別に大丈夫だっつーの」
そっいいながらも、稔は敦にバックを渡す。
ズッシリと敦の肩に重みがのしかかる。
「軽いな、このくらい」
「流石は元剣道部」
「うるせー、馬鹿にすんな」
「いい肩持ってんじゃねえか」
稔は敦の背中を叩き「行くぞ」と言った。
淳は、左手に獲物の刀を構え稔の前を進んだ。




