『夢日記』 (デジタル版) 一頁目
夢を見た。
君との恋は既に終わっていた。
そんな君から電話が掛かってきた。
深夜2時くらいだと思う。
俺は何故かベーカリーにいた。
走った。風。
走った。風。
君が駅前で待っていた。
かつて俺が過ごした街。
小さな駅と細い路地。
雨が降っていた。たぶん。
右手で君の左手を握りしめた。
そして俺のアパートに行った。
部屋の間取りは今のマンションに似ていた。
柄にもなく俺はスリッパを用意していた。
煙草の残り香を心配した。
気の利いた音楽でも流せばよかった。
ドライヤーで髪を乾かす君。
後ろからハグ。
君は緑色のセーターを着ていた。
身体に温もりを感じた。
心は冷たさを感じていた。
きっと。
そこで夢は終わる。