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隠して恋情  作者: 崎村祐
chapter3:気持ちの先に
33/34

33:動向

 どうにも最近、視線を感じる。いや、原因はわかっているんだ。あの、二年女子だと言うことはわかっている。振り返ったり、ふとした瞬間とかに、彼女を見ることが多いからだ。執念深さを感じるが、別れるつもりはない。これといって理由もないし、距離感なれないけど神崎君好きだし。あの子は私をkん刷して何がしたいのだろうか。



「よう、寺崎」


「あ、穂積君」



 首をかしげていたところに声かてきたのは穂積君だった。文化祭以降、穂積君と話すことはあまりなかった。元々は違うクラスで、部活も入っていないらしいから会う頻度は神崎君よりも少ないから仕方ないんだけど。

バレンタインは一応、既製品をあげた。流行りの感謝チョコというものだ。たぶん、穂積君がいなかったら私は素直になっていなかったと思う。神崎君には「料理部なんですから手作りでお願いします」なんて要求されたから、妹弟とは別のお菓子を手作りした。みんなで食べられるガトーショコラを作り、神崎君にはチョコレートトリュフを作った。穂積君は少々複雑そうな顔をしていたが、最後には「サンキュ」と言ってくれた。神崎君は本当に手作りしてくるとは思っていなかったようだ。びっくりして、破顔して「ありがとうございます」と言われた。本当にうれしそうな顔をするものだから恥ずかしくなって、逃げようとしたら、手を掴まれて阻止されたのはいい思い出だ。ホワイトデーには妹弟は晩ご飯を作ると張り切り、穂積君からはクッキーを貰った。神崎君からはキャンディを貰って、一瞬、恥ずかしいことをする、と思った。これでは言外に「好き」と言われているようで、言葉にするより恥ずかしい。いや、好きって言葉自体は恥ずかしくないんだけど、タイミングとかいろいろ、うん。言葉にされると嬉しい、が真っ先に出てくるけど、言葉以外で言われると考えて、思い当たって、恥ずかしくなる。私の場合は、だけど。

まあ、バレンタインの話はしこまで関係ないけど、穂積君と話すのはバレンタイン以来かもしれない。



「クラスが違うとなかなか会わないね」


「そうだな。なんか二年に絡まれてるみてえだけど大丈夫なのか?」


「なんで知ってるの?」


「そりゃあ、文化祭であんな派手に交際を決めた二人を二年と三年が知らないはずないからな」


「言わないで。でも、彼女のこと、噂になってるんだね」


「お前を狙ってるみたいだからな」



 毎回毎回、私を観察してるせいで目撃証言があるような言い方だ。しかし、そっちの方がいいのかもしれない。下手に一人でいるよりも安全かもしれないし。目撃証言があるなら何かあったとき、対策をとれるかもしれない。無いに越したことなないけれど。私を観察して、あおの暴君は何がしたいのだろう。わざわざ自分の不利になるようなことをしている自覚はあるのかな。あったらわかりやすく観察なんてしないか。未だに私をつけ狙ってる彼女はゴシップを書きたいのかな? 寺崎愛弥、浮気! みたいな。ゴシップ。神崎君には穂積君や男子生徒と話していても何も言われない。信じられているのかもしれないし、これくらいは許容範囲なのかもしれない。私は女子生徒と話くらい、どうも思っていない。それくらいで嫉妬なんてしていたら、後輩や友人に嫉妬することになるからだ。それに神崎君は私と違って、ことあるごとに態度で示してくれる。最近はなら手を繋いだり、送ってくれたり。たぶん、ほかの高校生カップルよりもプラトニックな関係をしていると思う。神崎君はわからないけど、私はまだ、それでいいと思っている。そう以上を求められても考えたことがないのだ。ずっと、私は妹弟のことを考えてきたから。あの日からずっと。

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