夢見る乙女(私が見た夢4)
こんな夢を見た。
私は一人の娘だった。
夢見がちな娘だった。
いつか、王子様が目の前に現れると夢を見ていた。
私は王子様に会いにパーティに行った。
しかし、近寄ることは出来なかった。
誰もが夢見る王子様は、美しい娘にかこまれていたから。
平凡な私には近寄れなかった。
私はパーティを抜けてベランダへ出た。
美しい月が空にかかっている。
私は諦めの思いと共にため息を吐いた。
その時、後ろから一人の男が現れた。
「そんなにこのパーティはつまらない?」
私は驚いて振り返った。
男はこのパーティの主役。
誰もが夢見る王子様だった。
「そんな!私には立派すぎて、気後れしていただけで…!」
私は慌てて否定した。
私の言葉に王子は微笑んだ。
「ありがとう。実は僕も退屈でね。
少し、傍にいてもいいだろうか?」
王子は私の返事を聞かずにベランダへ出て、傍に近寄った。
「今日は月が綺麗だね」
「ええ、とても」
二人は空を見上げた。
今日は半月だった。
ホールから音楽が聞こえる。
ダンスが始まったようだ。
「踊ろうか」
「えっ、でも…」
「いいから、おいで」
「私!すごく下手で…
足を踏んでしまうかもしれませんから…」
私は恥ずかしがり、下を向いた。
「ふふっ、君は可愛いね。大丈夫だよ」
王子は私の初々しさを可愛いと思ったようだった。
そうしてさっと私の手を取った。
音楽はスローテンポ。
「ほら、大丈夫じゃないか」
王子は楽しそうに言った。
月を眺めながら私達は踊った。
演奏は静かに最後の音色を奏でた。
王子は静かに手を離した。
「楽しかったよ、ありがとう」
「いいえ、こちらこそ楽しかったです」
「また、会おうね」
そう言って王子は微笑み、私の頬にキスをした。
私は真っ赤になり、腰がぬけてしまった。
そんな私を見て王子は楽しそうに笑い、抱き上げてくれた。
「じゃあ、またね」
王子はホールへと戻っていった。
私はその後姿を見て呆然と立ち尽くしていた。