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龍介くんの日常 2  作者: 桐生 初
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事件の概要

竜朗から今回の事件のファイルを渡された龍介は、ある程度の計画を練り、当日、真行寺の運転するカイエンの中で、資料を配りつつ、説明を始めた。


「現場は静岡市内の海辺の町。1ヶ月程前、獲った魚がなくなるという被害が出始め、1週間前、遂に人が亡くなった。勿論警察が出たが、死因はこの通り。」


「うわ…。首、喰い千切られてるの?これ…。」


鸞が言うと、頷く龍介。

瑠璃はもう慣れたのかそうでも無いが、朱雀は真っ青な顔になっている。


「朱雀。大丈夫?」


「だ、大丈夫です…。続けて下さい。親分。」


一同大爆笑。


「朱雀、龍は親分でなく、この仕事の時は、鸞の親父さんにあやかって、組長って呼ばれてんだ。」


寅彦に言われ、真面目な顔で頷くので、龍介は苦笑しつつ、朱雀の頭を撫でた。


「落ち着いていれば大丈夫。で、歯型を調べたけど、野生動物や犬とかの類いでも無く、はっきり言って、未知の生物って事が分かったので、こっちに回って来たと。

状況から考えて、犯人の目的は、この殺された人が持っていた、魚が入っていた保冷ケースと思われる。

この人は釣り人で、釣り船から降りて、駐車場まで歩いている所を襲われたらしい。

周囲の証言では、保冷ケースに入りきらない程の大漁だったそうだ。

しかし、現場に保冷ケースは残されて居なかった。

この人を襲い、そのまま持ち去ったと思われる。

そして、この時、被害者の首の一部が見つかって居ない。

この後の展開を見るに、恐らく、人間を食って、味をしめたと思われ、次の時には、海浜公園に遊びに来た家族連れが、魚も何も持っていないのに、襲われた。

この時は、ここのお父さんとお母さんが、果敢にも子供を守る為に格闘し、犯人は逃げた。

その証言によると、犯人は半魚人の様な姿だったという話。」


「ちょ…ちょっと待って貰っていい?」


「どした佐々木。」


「果敢にも戦いって、この人達、素人さんだよね?」


「そうなんだよな。俺もびっくりしたが、お父さん44歳は普通の会社員。中学まで剣道やってただけ。

お母さん44歳は普通の専業主婦で、スポーツ経験皆無だが、お父さんに護身術を習っていたらしい。

なんと驚いた事に、お父さんが車からぶっちぎって外したストラットタワーバーで殴ったやつと、お母さんが回し蹴りした、半魚人2名が負傷し、足を引きずって逃げたそうだ。」


ストラットタワーバーとは、車の剛性を高める為の部品で、車の幅はある鉄の棒の様なものだが、しっかりと金具で取り付けられているので、ぶっちぎってとなると、いくら火事場の馬鹿力だとしても、お父さんは恐るべき怪力の持ち主という事になる。


「凄えよなあ…。先生にスカウトさせたらどうだ。そのお父さん…。」


と、寅彦が真面目に言うのも、無理は無い。


「で、これが半魚人?」


次のページには、お母さんが描いた、半魚人の絵があるので、鸞が聞いた。


「そう。なんだか2人共、多才な人らしい。

ちょっと素人にしとくには惜しいかもな。

で、目撃証言を総合すると、この半魚人はこの家族連れを襲った時は3人組だったらしい。

海の方へ逃げてったそうで、お父さんがストラットタワーバー片手に追い掛けたが、負傷してるくせに凄え足の速さで、あっという間に見失ったそうだ。

でも、視界の開けた海で見失ったって話だから、海かもしれない。まあ、半魚人だしな。

って事で、寅に海での目撃情報は無いか調べて貰った所、漁師さんが鮫と見間違えた変な生物を、洞窟付近で見たという情報がいくつか拾えた様なので、これから、その洞窟に向かう。」


「はーい。」


「じゃあ、割り振りを言います。洞窟が巣で、何匹も居たら困るんで、発煙筒を投げ込んで、ある程度の数をあぶり出すから、朱雀は見通しのいい所から狙撃してくれ。いい?」


「はい。」


「俺と寅と佐々木が中に入るので、グランパと鸞ちゃんは、外で俺たちが逃したのを撃つ。

危険生物なんで、生け捕りは考え無い様に。何か質問は?」


瑠璃がそっと手を挙げて、悲しそうな目で龍介を見た。


「あ、ごめんな。瑠璃は、発煙筒と一緒に小型カメラ入れるから、その画像の情報を教えてくれ。」


「はい。」


「では、他に質問は?」


全員が首を横に振り、車は洞窟近くの海岸に着いた。








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