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龍介くんの日常 2  作者: 桐生 初
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踊るカレー屋さんとは!?

鸞は龍介と連絡を取り、京極家に全員ご招待して、夕食を一緒に取りながら、聖ガブリエル学園の男子生徒からの依頼を話し、預かって来た写真を見せた。


「先に瑠璃ちゃんのお母様にも見て頂いたんだけど、心霊現象ではないそうよ。」


「んー、きいっちゃんどう思う?」


龍介は、渡された写真を、そのまま亀一に渡した。


「変わったオレンジ色だな…。

なんか、どっかで見た事ある様な気もすんな…。

ちょっと預かっていいか、これ。」


「どうぞ。でも、調査する暇ある?

正直、私は無いわ。

瑠璃ちゃんもだけど、学園祭のうちのクラスの出し物の衣装も縫わなきゃだし、ダンスも覚えなきゃだし、終わったら終わったで、試験だし。」


「私も無理だわ。」


瑠璃も言うと、人間じゃないかもしれない京極の父が深く頷いた。


「鸞は古文を勉強せんとならんからな。」


学園祭で、何故、衣装とダンスなのかと言うと、龍介達のクラスは、踊るカレー屋さんをやる事になった。

カレー屋さんと言っても、インドカレーでは無く、日本の一般家庭のポークカレーで、しずか直伝の瑠璃レシピなので、フロア担当の女子はメイド服っぽいもので、男子は黒いギャルソンエプロン。

厨房担当の男子は、全員コックさん風の、長い白のギャルソンエプロンをする事になり、経費削減の為、全部、瑠璃と鸞が縫うのだ。

ダンスの詳細は今は伏せるが、踊るカレー屋さんなので、当然ダンスがあるので、それを覚えなければならないのである。


「確かに俺たちも、ダンスも演奏の練習もあるしな…。

写真部の展示用写真準備もあるし、今はちょいと厳しいか…。」


龍介が言うと、亀一も頷いた。


「まあ、一応、なんの光に似てるか、思い出す努力はしておくから。」


「分かったわ。じゃあ、一応、越田君に連絡してお…。」


鸞が言い終えない内に、寅彦と京極の父が同時に言った。


「ダメだ。」


「ならん。」


京極の父がギロリと寅彦を見て、お前が言えとばかりに、顎をしゃくった。


「鸞はもう、そいつと直接連絡取るな。龍か俺がやり取りする。」


ヤキモチだなあと思った瑠璃と亀一は、ニヤーっと笑った。

鸞もそう思ったらしく、ニタニタしている。

龍介1人、ポカーンとしているが…。

相変わらずこの男、全く分かっていない。




地獄の部活対抗リレーも、龍介と寅彦、亀一の怒濤の摺り足と気迫で、夏目の前で今年も優勝し、夏目に殺される事も無く、無事に終え、今度は学園祭である。


踊るカレー屋さんは、A組の教室に設えたレトロ調の内装のレストランで開店する。

接客は、可愛いメイド服の鸞と瑠璃に加え、A組が自信を持ってオススメするイケメン4人衆である、龍介、亀一、寅彦、赤松。

何と言っても、この4人。

英学園に4人しか居ないと言われるイケメン、その4人なのだから、外から来る、他学の女子高生、女子中学生にも、外に立って、呼び込みをするだけでキャアキャア言われ、客は入れ食い状態。

その上、鸞と瑠璃も、これまたマニアでなくても垂涎の可愛らしさ。

B組のカフェの集客を凌ぐ勢いで、お客は入って来る。


「いらっしゃいませ。カレーお2つでよろしいですか。」


この美形軍団が優雅に御給仕。

そして、しずか直伝レシピのポークカレーは、お肉トロトロ。

お店のものより美味しいと来ている。

もうこれだけで十分な気がするが、これだけでは終わらないのがA組。


お客は給仕に見とれつつ、ある疑問を抱きながら、静かに食べている。

踊るカレー屋さんの、踊るとは何か。

何故、テーブル席のど真ん中がぽっかり大きなスペースで空いているのか。

そして、部屋の隅っこに置いてある椅子とチェロはなんだろうかと。

その疑問は15分後に解消される。

亀一と龍介が、突然エプロンを投げ捨て、それが合図の様に、フロア係も調理係も、客に水を汲んでいようが、カレーをご飯に掛けようとしていようが、テーブル席のど真ん中のスペースに走って来る。

部屋の隅に置いてある椅子に走って行った龍介と亀一が腰掛け、チェロを持ち、2CELLOSを弾き出すと、調理係もフロアの接客担当も、音楽に合わせて、物凄い早送りのマイムマイムをを踊り出す。

『踊るカレー屋さんて何だろう。』と入って来たお客はびっくりしながらも、龍介達の演奏は聴けるし、早送りのフォークダンスは面白いしで、拍手喝采で、大受けだ。

そして、1曲終わると、何事も無かった様に持ち場に戻り、龍介達も、ギャルソンエプロンを着けて、再び優雅に御給仕再開。

このギャップも面白いと、リピーター続出で、

大評判を呼び、開催期間の2日間とも、あっという間に閉店前に完売になった。




龍介の周りの大人達全員も食べに来てくれた。


佳吾はどんな反応をするのだろうと思ったら、意外な事に楽しそうに笑い、龍介の演奏を目を細めて、真行寺と一緒に嬉しそうに見ていた。

夏目はというと、これまた意外な事に、美雨と大受けしていた。

こういう突拍子も無い感じ、意外と好きらしい。


龍介達自身も楽しめた学園祭だったが、生徒会役員は学園祭実行委員達と一緒に、雑用もある。

カレー屋さんの合間にそれをやり、各自のクラブの展示にも顔を出しなどやって、クタクタになったまま期末試験になり、実は、龍介達は、越田達の依頼の件は忘れてしまっていた。







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