表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
龍介くんの日常 2  作者: 桐生 初
157/174

アレとは、どのアレ?

龍介は直ぐに指示を出した。


「小島小隊長他お三方は、弁当屋へお願いします。瑠璃はそちらのバンで引き続き通信履歴の洗い出しと監視。俺と他お二方は、中華屋へ。佐々木は俺についてくれ。5分後出発。」


一斉に動き出す。

夏目は仕事をしながらそれを横目で見て、楽しそうにニヤッと笑った。


「おーい、本当にいいのかあ?」


夏目に頼まれた調査結果を持って来た香坂が、龍介の走って行く後ろ姿を見ながら苦笑して言った。


「いいんだよ。俺たちだってやらして貰ったろ。」


「まあね。」


「あれが今、どんだけ役に立ってる。」


「確かにそうだったけど、あん時は、俺とお前に渋谷に、青山まで居たし、お前が顎で使える奴らばっかだったじゃねえか。それに、柏木部隊長は優しかったし。」


「小島もうちの中じゃ優しい方だぜ?」


「嘘つけえ。渋谷中隊で小島、なんて呼ばれてると思う。」


「さあな。」


「小鬼だぞ。つまりお前の次に怖えって言われてんだよ。」


夏目は楽しそうに笑って、データに目を通している。


「龍介ならどうにかやるさ。」


香坂も笑った。


「凄え信頼だな。青山並みか。」


夏目は、今度は懐かしそうに微笑んだ。


「いいから早く戻れ。」


どうも青山の認識と、夏目の青山に対する感情は違う様だ。

ここにも夏目の謎が隠されている様だが、それはまた後の話とする。




龍介は八咫烏の黒いSUVを地下通路を飛ばしに飛ばして、中華屋へ向かっていた。


「加納、中華屋の主人のパソコンから、ロシアに居る人間に、メールのやり取りがある。」


「相手は?」


「相手のアドレス辿ってる…。中国人民軍の情報部の人間だよ…。孫小平って男みたいだ…。」


「それ、監視しててくれ。」


「了解。」




出発から10分後には、現地に到着。

小島の方は瑠璃のサポートもあって、難なく弁当屋全員を確保出来たが、問題は中華屋の方である。

到着直前、通信を監視していた悟が叫んだ。


「なんか重いデータ送り始めたぞ!写真じゃないのか!?」


「強行突入だ!。佐々木、パソコンの位置は!?。」


「案内する!」


龍介達は表玄関を蹴破り、突入。

龍介を先頭に、パソコンを手に誘導する悟を守りながら、銃を手に出て来た従業員を特殊作戦用ライフルで殴りつけて、なぎ倒すが如くパソコンに向かって全力疾走。


「加納!奥の部屋だ!」


龍介が奥の部屋に入り、銃を構えたパソコンの前に居た店主らしき男の腕を撃ち、悟がデータの送信を止めたが、写真データは殆ど送られてしまっていた。


「佐々木、相手の居所はロシアなんだな!?」


「そう!ハバロフスク!今、送信完了データ調べてる!」


「ありがと!」


龍介は話しながら龍彦に電話する。


「真行寺本部長!」


「りゅ、龍介!?仕事か!?」


龍彦は面食らっている。

それはそうである。

普段は、

『お父さん。』

としか掛けて来ない携帯だ。


「はい!ハバロフスクに機密が流れた様です。情報局の方で、回収は可能でしょうか。」


「ハバロフスクはモスクワからは、かなり遠い。急ぎか?」


「はい。」


「現地の人間に頼んで、飛行機で飛んでもらったとして、7時間35分かかる。」


「うう〜ん…。」


悟が顔を上げて、切迫した表情で報告した。


「加納一佐の写真、愛車ラグナV6に乗ってる所、厚木の蔵への入り口。全部流れてる。流れてないのは、レポートみたいな文書だけだ。中国語の。」


「本部長、少々お待ち頂けますか。」


「うん。」


龍介は電話から顔を離し、悟に聞いた。


「送られたデータ、転送しそうか。」


「いや、しないみたいだ。その形跡は今の所無い。」


「佐々木、引き続き監視を。」


そして今度は忙しく、無線で瑠璃に呼びかける。


「瑠璃。聞いてたか。」


「はい!」


「ハバロフスクの孫小平、中国に帰るのはいつだか調べてくれ。」


「了解。ー2時間後の飛行機を取ってるわ!」


「ー送って傍受される危険を考えて、直に持ち帰るつもりか…。分かった、有難う。」


龍介の顔は青ざめて見えた。

この緊迫した状況のせいだと誰もが思った。


「小僧〜、どーすんだあ。」


無線から小島の声が聞こえると、龍介は意を決した様な様子で、龍彦にも伝わる様に答えた。


「アレでロシアまで飛びます。本部長、お騒がせしました。」


アレってなんだと、首を傾げる悟に、龍介はやけの様な、八つ当たりの様な、珍しい状態で、怒鳴った。


「てめえ、戦闘ヘリぐれえ乗れんだろうな!?」


「へっ!?そんなもん乗った事無いから、知らないよ!それに、なんで涙目なんだ、加納!」


「アレを操縦しなくちゃならねえ、俺の気持ちがお前に分かってたまるかあ!」


「は…はあ!?」


どうもこの様子を見ると、先ほど青ざめていたのは、緊迫した状況にテンパっていたのでは無い様だ。

龍介はアレとやらが酷く嫌で、憂鬱らしい。

その為の顔面蒼白の様だ。

龍介はその調子のまま、無線でがなった。


「これから佐々木と蔵に向かう!瑠璃は長岡一尉にアレ用意しといてくれって言っといてくれ!小島小隊長!」


「ええ?小僧、アレったあ、なんだ?」


「容疑者の回収お願いします!」


再び登場のアレ。

さてそれは一体何か。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ