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龍介くんの日常 2  作者: 桐生 初
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更に悪い知らせが…

新宿へ急ぐバンの中は、寅彦の報告で更に緊張感が増した。


「香坂さんに送って頂いたデータを解析した所、細かい計画書が出て来ました。新宿のテロは後15分後になってます。」


「柏木部隊長を待ってる余裕はなさそうだ。新宿駅は三班に分かれる。いつも通り、2人1組。西口付近が1番多いだろうから俺と龍介、新城の3人。」


「はい。」


「寅、新宿駅の封鎖は?」


「警官が出てやってますが、何せ1番人の多い夕方なんで手間取ってます。自爆テロを起こす細かい場所まで計画書に入ってたんで、香坂さんに送ります。」


「了解。」


「ん!?ちょ…、ちょっと待って下さい…。きいっちゃ…じゃなくて、長岡三尉がなんか持ってくって、戦闘機で出ました。新宿駅上空で降りるって言ってます。え!?5っ、5分後!?きいっちゃん、大丈夫なのか、それ!」


ちょっと間が空き、雑音の中、亀一の声がしだした。


「夏目さん、聞こえますか。」


「聞こえる。」


「アキバのテロ聞いて、即席で作りました。実験はまだですので、使うかどうかはお任せします。」


「モノはなんだ。」


「箱です。どうにも間に合わんて時に自爆テロ犯を入れて、中で1人で爆死してもらいます。箱に触っていても、こっちには被害はありません。理論上はですが。」


「分かった。こっちは3分後に着く。」


「了解…。若干しんどいので切ります。」


夏目が少し笑った。

亀一が蔵から飛ばして来る亀一が作った戦闘機は、龍太郎が開発した物より更に見えなく、更に凄まじいスピードで飛べる様改良されているが、その分、物凄い振動で、空自の中でも、吐かずに乗りこなせるのは、至極限られた人間となっている。



夏目隊が到着した時には、駅周辺の封鎖は既に終わっていたが、駅の中からパニック状態の人々が警官隊の声も聞こえない状態で、止めどなく溢れる様に出て来ていた。

この人々をかき分けて、テロリストを見つけなければならない。

ここに向かう間に上下共八咫烏のコンバットスーツに着替えた龍介は、他の隊員と共に、一斉に準備万端でバンから飛び出る様に降りた。

その時、上空から、凄まじい風圧を感じた。

しかし、夕方の薄暗がりでは何も見えない。

その何も見えない所から、いきなりステンレス製のロープか落ちて来て、デッカい箱を抱えた亀一が降りて来た。

亀一が例のステルス戦闘機で来るとか、その存在を知らなかったら、亀一がいきなり空から現れたとしか思えない。

知っていても異様な光景である。


「きいっちゃん、ありがと。そして怪し過ぎるぜ。」


「しょうがねえだろ。最新鋭のステルス作ってるなんて一般に知られてねえんだから。見られたらヤバイ。」


それはその通りではある。

日本が作ったというステルスは昨年一般公開されたが、何世代も前のお蔵入りの物を発表している。

実際には全て最新鋭で、アメリカで新型と紹介された物は、全て龍太郎が作っているのだが、それもやはり公開されているのは、2世代程前の物だ。

一般が知るという事は、敵国も知るという事。

情報は出来る限り流さないに限るのである。


「けど、きいっちゃんと箱だけいきなり空から降りて来るっつー絵面が。」


龍介の一言でとうとう夏目も含め、隊員全員笑いだした。


「で、長岡、お前は。」


「勿論手伝います。」


亀一は自衛隊のコンバットスーツを着て、ライフルを背負い、銃も携帯していた。出る時からそのつもりだった様だ。


「分かった。敵の細かい計画では、西口で3人全員やる気らしい。新城、俺と組め。」


「了解。」


「長岡は龍介と組む。」


「了解。」


副隊長の新城は、隣の小田と顔を見合わせて笑った。

皆、苦笑している。


「隊長が龍介譲ったぜ?」


そんな感じだ。

それを悟ってか、夏目が仏頂面になっている。


「なんだ。全員まばたきの間すら惜しめ。生きて帰って来い。以上。」


龍介達は移動中に、その塩会社に雇い入れられたシリア人全員の顔を頭に叩き込んでいた。

香坂も駅構内の監視カメラで、顔認識ソフトで探している。

動きだした夏目隊に、香坂が顔認識ソフトで見つけたテロリストの位置を教えると、近くにいる者が名乗り、飛んで行って押さえ込んで確保する。

それで既に2人見つかったが、他はなかなか見つからない。

相変わらず、人々はパニック状態でごった返し、喧騒と人混みで探しだすにも苦労している。

龍介と夏目は、わざわざ1番人がごった返している場所で探していた。

木を隠すなら森の中という様に、人混みの方が姿を紛れさせやすいし、自爆テロはいかに犠牲者を多く出すかを目的としている。

逃げ出され始めている以上、なるべく沢山の人混みに行くはずだ。

まさしく、全員で血眼になって探していた。

続々と確保して警察に渡すが、爆弾を抱えてる人間はまだ1人も見つかっていない。

計画通りなら、後5分。

早められたら、猶予は無い。

逸る気持ちを抑えながら、龍介達は必死に捜索していた。












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