オープン一ヶ月前(5月7日、誤字微修正)
初めまして。なろう初連載です。
鏡野 ゆうさまと、商店街の皆さまの胸を借りて頑張ります!
よろしくお願い致します<(_ _*)>
まだ看板も出していない店舗の中で、オープンに向けてひたすら作業をしているおひとり様女子。
わたし、澤山 璃青は、母方の叔母、髙橋 葵から突然お店を任される事になった。
OLを辞め、家でダラダラしているわたしに舞い込んだ、不思議な縁。わたしは、迷うことなくこの話を受けていた。
母は、会社を退職して堕落した生活を送るわたしがいきなりお店を切り盛りなんてできるのか、と散々心配していたけれど、わたしは、今この環境から抜け出す事ができるなら、何だってやってやる!と奮起したのだ。
事の起こりは久しぶりに東京からはるばる地方都市にある我が家にやってきた、母方の叔母。聞けば叔母は、雑貨屋を営むのが長年の夢で、叔父と共働きをしながらコツコツ貯金をしていたというのだが、叔父の転勤話が浮上して、泣く泣く付いて行くことになったとか。
店舗の準備も整い、開店に向けて商品を揃え始めようとした矢先の出来事。夫の転勤を愚痴りに彼女の姉であるわたしの母の元へやってきた所、どうせなら親しい人に譲りたいし、できればやっぱり雑貨屋をやって欲しいとの話から、冗談のつもりで「ウチに三十代目前のニートがいるけど、どうよ」との母の提案に飛びついてきた叔母。
「璃青ちゃんお願いよ、おばさんの夢、叶えて欲しいの!開店資金も付けるから、雑貨屋さん、やってみてくれないかなぁ。一応ね、もうわたしが買い付けてある和雑貨とかもあるんだけど、後は璃青ちゃんにお任せするわ。おばさん、時々帰って来た時の居場所が欲しいの」
おばさん、そんなに必死に言わなくても、さっきからお母さんとの会話、ちゃんと聞いてたよ。わたしの中にも、もうワクワクが膨らんで止まらない。ここを出たいの。
「いいよ。わたし、雑貨屋さん、やる!その話、お受けします!」
「璃青、お店をやるって簡単な事じゃないのよ?ここしばらくのあんたを見てると、無理な気がするんだけど」
「やりたい事が見つからなかっただけよ。わたしね、何かに打ちこみたいの。がむしゃらになってみたいの。頑張るからお願い」
「軌道に乗るまでは、お姉ちゃん、手伝ってあげて。お願いお願い!」
おっ!おばさんも一緒に頼んでくれれば百人力!
「あー。そう来るから嫌だったのよー。まぁ、わたしも専業主婦ですし?少ーしくらいなら手伝わないこともないけどね。元々葵を手伝うつもりはあったんだから」
「わー、楽しみ♪和雑貨かぁ。じゃあお店の名前も和テイストの方がいいのかなっ?」
「あら、別に和雑貨だけを置くって決めつけなくてもいいのよー。ほら、璃青ちゃんが着けてるみたいな天然石のブレスとか、そういうのもいいじゃない!」
「あ、これ手作りなんだよね。天然石の店でね、大小様々な石の相性を見ながら自分でデザインした一点ものなの。石に元気を貰うのよ」
すると母が胡散臭そうな顔をする。
「またこの子は変な事言って。この子ねぇ、前から石言葉なんてものを勉強してるのよ。何の役にも立たないのにねぇ」
「あら、いいんじゃない?お客様と作る一点もの!和雑貨と一緒に天然石も置いちゃえ!」
おお、おばさん話がわかるぅ!
ーーーーかくして、わたしの名前から“青”を、叔母の名前から“葵”を足して、アメリカ人が聞いたら何ソレ?な店名を作ってしまった私たち。
「雑貨 Blue Mallow」をオープンする運びとなったのでした。
これから扱う雑貨は順次増えていく予定です。お取り寄せも致しますのでお気軽にお申し付け下さいませ!