第二話「5人の旧友」《2》
町に銃声が響いた。
しかし戦争では無い。
ロイシャラン王国の兵士が狙っているのはファイだ。
ファイは風を足に集めて走った。
兵士が一人、銃を乱射しながら走ってきている。
だがスピードはファイには勝てない。
一瞬のうちに、その兵士の目の前にいて、腹部を触っていた。
すると兵士は、風によって後ろに吹っ飛ばされた。
兵士は壁に当たり、気絶した。
ファイはそれを見ることなく、左右を見た。
兵士が二人ずつ、左右で銃を構えていた。
左右というより、右後ろと左後ろだ。
ファイは、場所を確認したとたん、空中に飛び上がった。
魔法を使っているため、とても高い。
兵士はそれでも空中に撃った。
…はずだった。
兵士が持っていた四つの銃全てがいきなり爆発したのだ。
兵士はすぐ理解した。
魔法だ。
ファイは他の銃を持たせる暇を与えず、突風を巻き起こした。
兵士は銃が魔法で壊れたことしか分からなかった。
一瞬で、体が宙に浮かび、背中を、壁にぶつけ、気絶したのだから。
ファイの着地の瞬間を狙ってか、少し遠くから、両手で銃をしっかりと握り締め、狙いを定めている兵士が二人いた。
だがそれも遅い。
ファイにそれを確認されたのだ。
二人にも突風が来て、同じように気絶した。
ようやく静けさが舞い降りた。
ファイはゆっくりと着地し、辺りを見回した。
そこで気付いた。
ようやく。
さっきまで倒れていたジェイダスが消えている。
そしてもう一つ、兵士が三人、いないのだ。
ファイは後ろを向いた。
そこには、それとは全く関係が無く、しかしとても重要な、そして『裏切り者』という立場を思い出させる、五つの人影があった。
五人は、悲しんでいた。親友であるファイを消さなければならないことに。
五人は、怒っていた。親友であるファイが、何も話してくれなかったことに。
五人は、任務を受けていた。旧友であるファイを、殺すという任務を。
「くっ………」
しかしファイは、決意できなかった。
親友である五人と、戦うなんて。




