第十四話「戦後」《5》
いつものように、ファイは仕事場に向った。
しかし今日は、いつもと違った。
「シガル……さん?」
ファイは止まった。
目の前には、三人いた。
シガルと、その両隣にいる女の子二人。
見覚えなどない。
ないが、知っていた。
話は何度も聞いた。
当然昨日も。
ファイから見て、シガルの左にいる者。
緑色の髪は、聞いた通り綺麗で、肩まである。
瞳が青い目は丸く、話の通り、優しそうだ。
話が本当なら、彼女は自分と同い年だ。
ファイは分かる。
この者はシガルの娘だ。
ファイから見て、シガルの右にいる者。
聞いていた通り、遺伝したようで、髪は金髪だった。
その髪は美しく、腰まで届きそうなほどの長さだ。
瞳が黒いその目は丸くなく、しかし鋭いわけでもない。
話の通りならば、ファイより3歳年下だ。
ファイは分かる。
この者もシガルの娘だ。
「ファイ、来たか」
ファイは思わずため息を吐きそうになる。
言わなくても分かる。
とにかく、面倒なことに巻き込まれるということだけ。
「これが俺の娘だ」
シガルは娘を溺愛している。
この場から逃げるのはまず不可能だ。
「いつも話しているが、自己紹介させよう」
シガルは左手で背中……緑色の髪の娘の背中を押した。
「私は、エリア・ケイストです」
エリアは頭を下げた。
つられてファイも下げた。
シガルは続いて、金髪の娘の背中を押した。
「ティラ。ティラ・ケイスト」
ティラは頭は下げなかった。
ただファイを睨み付ける様に鋭く見てるだけだ。
三人の目がファイに向いた。
どうやら、しなければいけないらしい。
「えっと……ファイ・アルロスです」
よく分からなかったが頭を下げた。
未だに状況が把握できない。
自己紹介させて何をさせたいのかが分からなかった。
シガルのにやけたような笑みを見てると心配になってくる。
何か嫌な予感がするのだ。
「ファイ。実は、頼みがあるんだが」
やっぱり。
ファイはそう呟きそうになった。
「この二人と……友達になってくれ」
シガルは大きな声で言った。
その瞬間、時が止まったような気がした。
「はい?……」
ファイは思わず聞き返した。
するとティラがシガルの腹部を肘で殴った。
「ぐふっ!!な、ティラ!」
「勘違いするような言い方しないでよ!!」
「す、すまん。色々飛ばしてしまったな。ファイ」
もう一度シガルはファイを見た。
「娘達と、仲良くしてくれ」
ファイは、それでも状況を理解することは出来なかった。
タイトルを変更しました
下書き(?)に追いついてしまったので、しばらく更新はしません
と、言うより出来ません……
更新の再開の報告は、活動報告のほうでします




