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第十四話「戦後」《2》

次にそこを訪れたのはレイラだった。

レイラは毎日のように訪れてはファイを笑って帰る。

しかしファイはレイラを見ると、あれを思い出して笑いそうになってしまう。


サイクスとの戦いの後、街はすっかり晴れていた。

そこでみんなの話が盛り上がり、騒いでいた頃、ファイはそこを抜けた。


一人で暗い路地に入り、壁に寄りかかって腰を下ろした。

するとそこにレイラがやって来た。


「体……痛むの?」

「ぶっ!!」


吹いてしまった。

レイラが、顔に全く似合わないことを言ったので思わず笑ってしまった。


「な、何笑ってんのよ」

「いや、お前が俺を心配してくれるなんて」


レイラは顔を赤らめた。

それを見て、また笑った。


「馬鹿にしないでよ」


否定はしなかった。


よくよく考えると、スレイタウンでロイシャラン王国の兵士と争っていた時、全く魔法を使っていなかった。

レクシィ城に入る時、兵士に見つかったのに、魔法を使わなかった。

もしかしたら、人を傷つけるのを嫌っているのかもしれない。


そんなことを考えながらレイラの顔を見たら、また笑いがこぼれた。


「何笑ってるの」


起こったような言い方だったが、顔は笑っている。


「大丈夫そうだから、私、ジェイ兄の所に行くね」


そこで思わず、また笑ってしまった。

久しぶりのような気がしたが、実際はそれほど時間は経っていない。

何にせよ、やはり面白かったのだ。


「何?」

「ま、前から思ってたんだけどさ、『じぇいにい』って」

「なっ!!」


レイラはその時、複雑な表情をした。

てっきり、何か言い返してくると思ったのだが違った。

驚いた表情なのだが、何処か切なさが感じられた。


しかしすぐにいつもの表情に戻る。

そしてにやついた表情でファイを見た。

ファイの笑みはその時、苦笑いに変わった。

嫌な予感しかしなかった。


「もしかして、あだ名が羨ましいの?なら仕方ないなー。そこまで言うなら付けてあげる」

「ちょっ!俺は」

「何?アルちゃん?」


ファイが声が出なかった。

表には出さなかったが、正直気持ち悪かった。

苦笑いが引きつっているのが自分でも分かった。


「嬉しすぎて声が出ない?」

「んなわけないだろ」

「そうだ!みんなにも教えてあげよう」

「お、おい!」


レイラはスキップでジェイダスの方に向って行く。

ファイは立ち上がってレイラを止めようとした。

苦笑いがいつの間にか笑顔になっていたことに自分でも気付かなかった。

こんなやり取り、久しぶりだったのだ。


と、レイラが止まり、ファイを見た。


「言うわけないじゃん」


レイラは笑顔だった。


「ファイ……おもしろっ!」


レイラはジェイダスの方に走って行った。


まただった。

また、レイラはあの複雑な表情をした。

ファイはそれが引っかかってしまう。

その表情の後の、満面の笑みと一緒に。

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