第二話「5人の旧友」《1》
レイラ・アルソリー。
それがこの女の子の名前らしい。
改めて女の子…レイラをよく見た。
髪と、瞳の色、普段から目が鋭いところ……確かにそこは、ジェイダスに似ていた。
が、やはり、ジェイダスに妹がいることは認めにくい。
認めにくいが、実際にそうなのだから、認めなければならない。
そして、レイラもジェイダスと一緒に、一時期シャラジュ―マに入っていたらしく、魔法はある程度使えるらしい。
「何の魔法が使えるんだ?」
その質問に対してレイラは
「あんたは?」
と質問で返してきた。
それに、名前を教えたのだから、いい加減「あんた」というのは止めて欲しいのだが…。
「さっきの戦闘で分からなかったのか?『風』だよ風」
その言葉はしっかりとレイラの耳に届いていたのだろうか。
レイラはすらりと話を変えた。
「そういえば、ジェイ兄に会ったんでしょ」
「じぇいにい?」
ファイはその言葉を理解することは出来たが、つい聞き返してしまった。
知りたくない、理解したくないその意味を、聞いてしまったのだ。
「ジェイダス兄ちゃんの略だよ。それくらい理解してよ」
レイラの顔が、ほんの少しだけ赤くなっていた気がした。
どうやら、略さずに言うと恥ずかしいらしい。
それにしても…
「ぷっ………」
ファイは耐えることが出来なく少し笑ってしまった。
あのジェイダスを、『ジェイ兄』。
笑うのを耐えるなんて不可能だ。
ギリギリレイラには笑ったところは見られなかったようだった。
「で?会ったんでしょ」
「あ、あぁ。まぁ。会ったよ」
戦闘したけどな。
その時、ひと時の安らぎを忘れ去るような音が聞こえた。
嫌でも聞こえてしまう。
銃声だ。
一発では無い。連射音が重なり合ってる。
銃撃戦だろうか。
ファイはとっさにその方向に走ろうと2、3歩足を進めたが、止まった。
その後ろには、女の子がいる。
そう、いくら元シャラジュ―マといっても、女の子なのだ。戦場に置いていくのは少し抵抗があった。
それに気づいたのか、レイラは表情を変えずに言った。
「行けば?私は、魔法が使えるの。置いてってもいいよ」
「……悪いが、そうさせてもらう」
ファイは風を足に集め、走り出した。
走りながら、ふと思った。血は、どうしたのだろうか。
そう、兵士にやられた、肩にあったレイラの傷だ。
普通、そんなものがついていたら、会話中に気づくだろう。
何故、気づかなかったのだろうか。
しかしその答えを考える暇もなく、音の発生源に着いた。
大通りから外れた、長方形の少し狭い空間。
先刻戦っていた公園と、同じくらいの広さだろう。
この空間の出入り口は、今、入っていった道と、その右前にある道だ。
その狭い空間…今は人が多かった。
青い鎧を着たものが10人。
ファイ。
そして、ファイの数歩まえにいて、血だらけになっている、ジェイダスがいた。
「ジェイダスさん!!」
その声が聞こえたのか、ジェイダスが振り返った。顔からは血が出ていないようだ。
しかしその下はどうだろうか。
赤く染まった上下の普段着。
そこから落ちている赤い水滴。
ジェイダスはこちらを見て微笑んでいる。
何か言いたそうだ。
しかし言わない。言えない。
ジェイダスはそのまま倒れた。うつ伏せに。
気絶したのだろう。
青い鎧を着た者たちは、ジェイダスに向けていた銃をそのままファイに向けた。




