第十二話「間者」《3》
「うっ!」
「大丈夫か!」
「リスター君、前!」
リスターはしゃがみ、瞬時に避けた。
リスターの頭上に大量の水が通る。
「……」
二人はレイラをみる。
一人やられた。
大量の水を腹部に当てられ、気絶している。
三対一でも無理だった。
やはり、魔法が使えるだけで実力はかなり変わる。
それは分かっていた。
が、ここまでとは思っていなかった。
「隊長!!」
「大丈夫ですか」
するとそこに助けが来た。
ジェイダスの方に行っていた二人だ。
偽ケミアはいない。
上手くいったのだろうか。
リスターは二人の目を見る。
すると二人は悟り、言う。
「すいません。逃げられました」
二人は軽く頭を下げた。
「リスター君!!」
シントスに名前を呼ばれ、右に強く引っ張られた。
すると元いた場所に水が通る。
ここは戦場。
少しの会話でも死に繋がる可能性もあるのだ。
しかしこれで四対一。
これなら、いけるかもしれない。
リスターはそう思った。
……のだが、そうはいかなかった。
「うっ……」
二人の様子が変わる。
苦しそうに倒れたのだ。
リスターはシントスの顔を見た。
「リスター君。これは非常にまずいね」
シントスは軽く笑った。
倒れた二人の先に、一人誰かが立っている。
二人を気絶させた者……ジェイダスだ。
てっきり、ジェイダスも気絶させるところまで作戦が上手く運んでいたと思っていたが、違ったようだ。
いや、それとも、気絶したが目を覚ました、もありえる。
どちらにしろ、リスターとシントスは窮地に立たされたのだ。
二人は剣を強く握ってレイラ、そしてその後ろにいるジェイダスを見る。
二対二。
この言葉だけなら勝敗は分からないだろう。
しかし相手は魔法が使える。
二人は、勝てる気がしなかった。
としたら、何をするかは一つ。
選びたくないが選ぶしかない道。
「逃げます……か」
シントスも軽く頷く。
逃げる道。
それを選ぶが、それがまず出来るだろうか。
もしそれが出来たとしても、ここに残された三人はどうなるだろうか。
二人は剣を腰にしまいつつ、銃を腰から抜く。
もうこれしかなかった。
銃を使うしかなかった。
しかしその銃も、緊急の時の為のこれしかないのだ。
二人はゆっくりと後ずさりをする。
銃の入ったバックは後ろにある。
そこまで行くことが出来れば何とかなるかもしれない。
二人の後ずさりが始まったところで、ジェイダスが動いた。
走って二人に近づく。
同時に二人も走る。
しかし後ろを向くことは出来ない。
背中を見せたら終わりだ。
「シントス殿!!」
「分かってる」
シントスはしゃがむ。
レイラの水が来たのだ。
それを避けることは可能だったが、そのせいで、遅れた。
リスターは構わず走る。
その前に一発、ジェイダスの足に向けて撃つ。
ジェイダスに追いつかれたら不味い。
シントスは少し遅れて走る。
先にバックに触ったのはリスターだ。
「シントス殿」
「ありがと」
リスターはシントスのバックを投げる。
それを受け取り、すぐに銃を取り出し何発か撃った。
当然当たらない。
当てていないわけではない。
雷や水でで止められるのだ。
何とか武器は手元にある状況となった。
しかし、きついのはこれからだった。
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