第一話「アルソリーとの出会い」 《5》
「…全く」
ファイは呟いた。
ファイを殺そうとした兵士は、風を使うファイに手も足も出ずに逃げていった。
それはそれとして、
「どうしてあんな真似を?……」
よく見たら女の子はファイを見ていなかった。
「お~い」
ファイは女の子の肩を叩いた。
さっきからずっと腰が抜けたように、座ってボーッとしているのだ。
そんなにファイが魔法を使うのが珍しいのか。
いや、ジェイダスが、毎回戦争を止めているから魔法には慣れているだろう。
しかしそれを偶然見たことない可能性もある。
それとも、本当に怖くて腰が抜けてしまったのか?
「え?え?何?」
女の子はハッとなって、ファイを見た。
女の子は、一旦立ち上がり、少し黙った。
聞きたい事を整理しているのだろう。
ファイにも聞きたい事があるのだが、まだ聞かないことにした。
今聞いても、答えてくれないだろう。
面識が無いのに、ファイはそう感じた。
少し待つと、聞きたい事が決まったらしく、口を開いた。
「なんで魔法使えんの?」
いきなり、女の子はストレートなことを聞いてきた。
そして、ジェイダスの時とは違く、敬語無しで話されて少しむっとなったのは何故だろう。
「シャラジュ―マだったから……」
初対面なのに、ジェイダスの時とは違く、敬語を使う気にならないのは何故だろう。
「もしかして…あんたも裏切り者!?」
初対面なのに何故「あんた」呼ばわりなのだ?
疑問はどんどん増えていくが、ひとまず質問に答えなければ。
「あ…あぁ。………………ん?」
今、ファイの耳には、「あんたも」と聞こえた。
いや、実際に言った。
確実に。
絶対に。
もしかして、この女の子は、ジェイダスの知り合いか何かなのか?
「もしかして、ジェイダス・アルソリーさんをしってるの?」
「は?知ってるも何も、『ジェイダス』は、私の兄だけど……」
「あぁ。お前妹か…。いもうと…いも…うと……」
ファイは一瞬、何を言われたか、頭の中で整理した。
しかし、何度思い出しても、クールな『ジェイダス・アルソリー』には全くと言って良いほど似合わない言葉が頭に思い浮かぶ。
「私の兄」ということは、この女の子は…
「妹なのか?…………アルソリーさん、いや、ジェイダスさんの……」
「そう。だから?」
女の子はニッコリと笑った。




