第十一話「深夜二時」《3》
リスターは悲しかった。
他の三人も、何かが違うことに気付いていたらしい。
と、いうことは、ケミアは偽者の可能性が高いのだ。
なら、目的があるはずだった。
ケミアに成る目的が。
もし、命を狙っているとしたら、ケミアの正体は、二通りまでに絞られる。
一つは、西の国の者だ。
自分達間者の命を狙いに来た。
もしくは、自分達のように、東の国に間者として過ごすつもりか。
もう一つは、シャラジューマだ。
その場合、自分達の命ではなく、ファイ達の命だろう。
現に、ファイは裏切り者は殺される、と言っていた。
その事を話したが、一つ目が否定された。
技術だ。
西の国には、ここまで本人にそっくりにするような技術はないのだ。
何年も潜入していたのでそれくらいは分かる。
「……と、すると」
リスターが結論を言う。
「今のケミアは、シャラジューマだ」
消去法で、そうなってしまう。
魔法を使えば、本人そっくりなんて余裕だろう。
しかしそうなると疑問が生まれてしまう。
何故、こんな回りくどい真似をするのか。
何故、殺すチャンスはいくらでもあったのに、何も行動を起こさないのか。
やはり、違うのか。
そう思ったが、他の場合だと疑問がさらに増えてしまう。
「なら……どうする?」
リスターはきつい目つきだった。
もし、いや、ケミアは偽者、これは間違いない。
なら、本物のケミアはどうなっただろうか。
この場にいる全員がそれを思ったが、誰一人それに触れなかった。
「やっぱり、捕まえるんじゃ」
「シントス殿。相手はシャラジューマですよ」
捕まえる。
リスターもそれを考えたがすぐに結果は出る。
自分達の死。
たとえ複数で戦ってもそうなるだろう。
「なら、放置するつもりじゃ」
「いえ。……ちょっと」
そこでリスターがにやけた。
何か考えがある。
それは顔を見ればすぐ分かった。
「あの偽ケミア。あいつは俺らより強い。それは事実です」
それがたとえ、初級者でも。
魔法が使えるのと使えないのとでは全く違うのだ。
「で、なら、それを使いましょう。偽ケミアを、戦力として使うのです。今日、戦いで」
ここまできたら分かった。
「ケミアと行動した者は、気絶したふりをします。全員。そしたら、もしかしたらケミアが魔法を使って敵を倒してくれるでしょう」
「リ、リスター君!」
「大丈夫です。その敵が死ぬまでに、気絶したふりをしている者が偽ケミアに……」
それがリスターが考えた作戦だった。
成功するかは分からない。
その時、そう思っていた。
が、今現在、良い方向にしっかりと進んでいた。
気絶してるふりをしている二人は、とても喜びたかった。
が、今はただ隙を待つのみ。
気絶していないのを気付かれないように。
二人は思った。
隊長は、大丈夫だろうか、と。




