第十話「開戦」《5》
リスターとシントスは焦りながらも冷静に判断した。
ジェイダスのみだと思ったら、水を使う少女……レイラまで来たのだ。
リスターは三人一組に分かれる案を出した。
シントスもそれに頷いた。
確かに焦りはあった。
しかし予想はしていた。
いや、実はもっと多くの人を相手にすると思っていた。
少なくて逆に少しほっとしていた。
分かれ方はこうした。
レイラの相手は、シントスを中心に、リスターともう一人。
ジェイダスの相手は、ケミアを中心にして、残りの二人だ。
「ケミア。頼むぞ!」
リスターはただそう言い残し、ジェイダスの相手をした。
ケミアはいつものように笑顔だった。
全員、銃ではなく、剣を持った。
銃だと、相手を瀕死にしかねないからだ。
シントスの心遣いからなった。
現在、ジェイダスとの戦いはまるで時間が止まったようだった。
誰一人動かない。
しかし、兵士側から言わせれば、動けなかったのだ。
一人以外。
その者は、嬉しくて顔の笑みが止まらなかった。
しかし笑っていても何も疑われない。
いつも笑っているのだから。
この状況の中、始めに動いたのはジェイダスだ。
兵士三人の動きを止める。
雷で。
それほど強いわけではない。
しかし通常の者が動けるほど弱くもない。
結果、動けないのだ。
ジェイダスは動けない兵士三人のもとへ歩き出す。
ゆっくりと、ゆっくりと。
「ぐっ!!」
一人、思わず声を出した。
ジェイダスの攻撃が当たったからだ。
ゆっくり歩いていたが、攻撃の早さは全く違った。
右の手のひらから雷が一瞬で現れ、それがケミアの右にいる兵士の体に直撃した。
その者は何があったか分からずに意識を失った。
死んではいない。
息はあった。
正直、ケミアの目から見て、気絶するほどのものではないと感じたが。
「がはっ!!」
と、気付くケミアの左の兵士が倒れていた。
意識を失っている。
死んではいないが。
何が起こったか。
またジェイダスだ。
「……ふぅ」
ケミアは息を吐いた。
そして何もされてないように体を動かした。
何もされていなくはない。
まだ雷は流れている。
なのに動いていた。
何故なら、もう彼はケミアではなかったのだ。
そう、既に彼は、№3……サードに戻っていたのだ。
「……」
サードは、先程とは違う笑みを見せていた。




