表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/75

第十話「開戦」《4》

街の東で、ラーチャが走っていた。

向う先は、レイン。


八時少し前に、変な感覚になり、声が聞こえたりと混乱していたら、八時丁度に音が聞こえた。

爆発音。

それもレインがいる方向からだ。


ラーチャは気付いたら体が動いていた。

自分には何も出来ないだろう。

しかしそれでも何かしたかったのだ。


武器は腰にある短剣ただ一つ。

剣についてはリスター達から習っている。

しかし武器一つは心細かった。


「あっ…………」


急にラーチャの足が止まる。

目の前に人が現れたからだ。


道幅はそこまで広くはない。

分かれ道は無く、真っ直ぐの一本道。

そこに人が二人いた。


「……」


ラーチャは言葉が出ない。

その者は知り合いだった。

が、会話出来ない。

目を見れば分かった。

操られている。


その者とは、イルド・サンシルだった。


一番会いたかった者。

しかしここでは一番会いたくなかった。


この場で出会ったら、戦闘、それしか選択肢はない。

いや、もう一つある。

逃亡。

ラーチャはすぐにそれを選んだ。


ラーチャは後ろを向き、今走ってきた道を走る。

全力で。

しかしつい先刻も走っていた為、体力がもうなかった。


それでも走った。

イルドとは戦いたくない。

その一心で。


が、体力では当然勝てなかった。

イルドがすぐ後ろで剣を右手に走っていた。

このままだと後ろから斬られる。


ラーチャは咄嗟に短剣を取はり出し、体を思いっきり右に動かす。

すぐに体勢を整え、何もないところに剣を振り下ろしているイルドを見る。

危なかった。

少しでも遅かったら斬られていた。


そんな状況、考えたくもなかった。


ラーチャは短剣を右手に逆方向、レインがいる方向に走った。

短剣はもしもの為、使いたくはなかった。


「はぁはぁ……」


しかし体力はもうなかった。

止まるわけにもいかないが、走り続ける体力もない。


「イ……ルド君……」


ラーチャは震えた声を出し、止まる。

後ろを向くと、やはり剣を持ったイルドが立っていた。


「はぁはぁ」


足が痛い。

横っ腹も痛い。

苦しい。


そんな感情を抑え、イルドを見た。

やはり死んだ目をしている。


ラーチャは短剣を右手でしっかりと持った。


「はぁはぁ」


ラーチャは息切れをしながらも、それを選んだ。

イルドと、戦うという道を。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ