第十話「開戦」《2》
「大丈夫だ。大丈夫だ……」
ファイは自分を落ち着かせた。
スレイタウンの中央の家の屋根の上。
そこにファイはいた。
サイクスとの戦い。
ついに当日が来てしまった。
昨日、一様は作戦を考えた。
まずファイ。
風の魔法が使えるため、機動力に優れる。
よって何処へでもすぐに駆け寄れるように中央に待機。
次にレイン。
一番の戦力で、戦いの中心となる。
よってレクシィ城側の街の入り口に待機。
ラーチャとシントス。
魔法が使えないため、家で待機。
また、間者の五人が戻る可能性もあるためもある。
その間者五人。
昨日から連絡が取れない。
ただ、戦いに参加する可能性は十分ある。
時刻は八時になろうとしていた。
まだ何も異変は起きていない。
が、後少しで八時というところで異変が起きた。
爆発などではない。
銃声でもない。
気持ちが悪くなるような感覚。
『心』だ。
やはり慣れていない。
『八時にスタートといこう』
そこで聞こえたのはケイズの声ではなかった。
本人が喋っている。
SIKSの声だ。
ファイは違和感を感じる。
自分と全く同じ声なのだ。
正直気持ちが悪い。
『カウントダウンをしてやろう』
サイクスの声が脳に響く。
聞きたくなくても聞こえてしまう。
『……5……4……3……2』
ファイは風を足に集めた。
八時丁度に来る可能性は十分ある。
『……1……スタート』
「!!」
ファイは瞬時動いた。
予想通り、動きがあった。
街の入り口……レインがいる場所だ。
静かな為、すぐ気付く。
いつの間にか嫌な感覚は消えている。
しかしそれと入れ替わるように体に異変が起きる。
動き出してまだ数秒なのに。
ファイの体は止まる。
止まったのではない。
止まらせられたのだ。
魔法……『雷』によって。
「ま……さか」
ファイは力を入れ、無理やり体を動かし周りを見る。
本当は見たくない。
確かめたくは無かった。
誰かは分かる。
見なくても分かる。
しかし確認しなければならない。
ファイの後ろの屋根の上にいる、ジェイダスを。
「……」
ファイは言葉が出ない。
予想はしていた。
しかし実際に起こると厳しい。
「ファイさん!!」
するとファイの耳に声が聞こえた。
下からだ。
「し、シントスさん?」
下を見るとそこにはシントスがいた。
ラーチャと共に家にいるはずのシントスが。
「た、た、大変です」
慌てたように言う。
シントスはしっかりと鎧を着て、武器の入っている黒いバックを背負っている。
一応は戦える。
「どうした?……!」
ファイは高く飛び上がる。
ジェイダスから雷が飛んできたからだ。
警戒はしていたので避けられた。
避けられる速さだった。
「ら、ラーチャさんが、目を離していたらどこかに向ってしまいました。すいません」
シントスは頭を下げる。
そして背負っているバックから銃を取り出した。
「だから……」
空中のファイに向って言う。
「その人は私に任せて!ファイさん!ラーチャさんをお願いします!そしてレインさんも!」
シントスは一発、ジェイダスに撃った。
当然当たらない。
ジェイダスの前で弾は止まっている。
雷によって。
「……分かりました。お願いします!!」
ファイは少し迷って言った。
そのまま着地せず、空中に飛び上がったまま、街の東に向った。
ラーチャはたぶんレインのところに向っただろう。
あの爆発音を聞いて。
「さて……」
ファイが向ったのを見て、五人が現れた。
その中心の者が言う。
「シントス殿を助けよう!」
その者……リスターはシントスの元へ走った。




