第九話「裏切り」《4》
それは、ファイがシャラジューマを抜ける、前の日のことである。
「何とか……って感じでしたね?」
「あぁ。ま、無事成功したがな」
「はい。さすがケイズさんですよ」
「茶化すな。お前もやったんだから」
シャラジューマの基地。
そこでファイはケイズと歩いていた。
ケイズとの任務が完了したところだ。
ファイが、この任務の責任者のため、これから報告に行く。
ファイが報告するのは、上級者の、『 №3 』だ。
『 №3 』は、普段から顔を隠し、名前も公開していないため、サードと呼ばれるようになった。
自分のことは公開しないけれど、別に無口なわけではない。
「サード様。任務ですが……」
ファイは淡々と任務について説明する。
真っ白で、小さな部屋には、ファイとサードしかいない。
「……以上が、任務の結果です」
「分かった。次の任務まで待機だ」
「はい」
ファイは自室に戻る。
部屋は、同じ能力者との相部屋で、それほど物は置かれていない。
二段ベットが奥にあるだけで、他には、私物しかない。
少し狭いが、生活するのには全然問題ない程度だ。
「お!!ファイ。任務は?」
「もちろん成功だ。お前任務は?」
「これから。ま、かかって一日の楽な任務だけどな」
二段ベットの上のベット。
そこに男が座っていた。
同じ能力を持つ者……レイスだ。
ファイは二段ベットの下のベットのほうに座る。
少し難しい任務だったため、疲れがあった。
ベットに座った途端、睡魔が襲った。
ゆっくりと、ファイは眠った。
「……!!」
ふとファイは起きる。
少し気持ち悪い。
まだ3時間くらいしか寝ていない。
この変な感覚は全然なれない。
『心』の能力だ。
「レイス……いるか?」
目を擦りながら呼びかける。
しかし返事が無い。
もう任務に行ったようだった。
「……はぁ」
ファイはため息を付く。
心の能力。
複数の人に直接呼びかける魔法。
任務があるときに使われる。
『任務だ。裏切り者が出た。直ちに排除せよ。なお、裏切り者の情報はすぐに送られる』
サードの声。
予想通り、任務内容は裏切り者の排除だった。
緊急の任務は全てこれだ。
しばらく経つと、裏切り者の情報が送られてきた。
脳に直接。
少し頭痛がした。
やはりこれは慣れなかった。
裏切り者。
見たことが無い者だ。
火を使う中級者。
「……さて」
ファイは重い腰を上げる。
正直、この任務が一番嫌だった。
元々、裏切り者は仲間だった者だ。
簡単に殺すのは気が引けてしまう。
しかし任務は任務。
毎回、それなりにやっていた。
「……」
ファイは部屋のドアを開けた。




