第八話「目覚めの後の悪夢」《5》
「あ、ありがとうございます!」
シントスは深く頭を下げた。
結局、全員が行動を共にすることが決まった。
それぞれ理由は違う。
ロイシャラン王国を助けるため。
サイクスを倒すため。
ファイの手助けをするため。
が、目的は一緒だった。
「じゃ、行きますか」
シントスが笑顔で言った。
「!!」
その時、異変が起きた。
部屋の中央が光ったのだ。
全員壁にすぐ寄った。
誰でも分かる。
魔法だった。
部屋の中央の光は消えない。
それどころか、みるみる大きくなっていく。
兵士は銃を構え、ファイ達は魔法をすぐ出せるよう準備していた。
イルドとラーチャはただその光を見つめていた。
それくらいしか出来ない。
元シャラジューマは分かる。
これが何の魔法なのかを。
「移動魔法……」
そう呟いたのはレインだ。
こんなところに移動魔法。
誰だろうか。
この魔法は、自分以外の者の移動専用のものだ。
中央の光は、人の大きさまで膨らみ、止まった。
誰かが立っているのは分かった。
マントが微かに見える。
やはり、シャラジューマだ。
光は小さくなる。
まず髪が見えた。
銀色の髪だった。
それも、何処かで見たことがある。
ファイだけではない。
レインも同じことを感じていた。
髪が全て見えた辺りで気付いた。
ファイは言葉が出ない。
レインもだ。
次に目が見える。
やはりそれは知っている顔で、瞳は黒だった。
それを見た途端、ファイでもレインでもなく、シントスが驚いていた。
「あ……あの……目は……」
声が震えていた。
体も自然と後ろに下がり、背中が壁に触れている。
最後に口が見え、光は消えた。
その口は、何も感情を示していない。
その者は、何も見ていない。
「け………い……ずさん……」
レインが途切れ途切れに言った。
そう、その者とは、ケイズだった。
シントスはその者を知らない。
が、驚いている。
目を見てからだ。
ケイズの。
黒い瞳のことではない。
目の形でもない。
その、何も見ていない目を見て、驚いているのだ。
「あれ……です。あの目をしていました」
シントスの言葉に主語が無い。
あの目……ケイズの目。
この部屋にいる者全員が違和感を感じたその目。
表現するなら……「死んだ目」。
そう、シントスの言葉の主語は、操られたロイシャラン王国の兵士だ。
それで全員が分かる。
この者が、操られているという事を。
ケイズ……ファイの指南者です(能力…岩)
覚えていましたか?




