第八話「目覚めの後の悪夢」《1》
「…………!!」
レインは飛び起きた。
もう明るい。
朝だ。
レインは辺りを見渡した。
臭いで分かる。
ここには死体があった。
誰のかは分からない。
ファイもクラウも見当たらない。
レインは焦った。
ファイがいない。
もしかしたら……そんなことを考えてしまう。
が、それは違うと分かった。
包帯だ。
そこでようやく自分が手当てされていることに気付いた。
足音がした。
こちらに近づいてくる。
ここと繋がっている隣の部屋からだ。
そこから、一人の者が顔を出した。
「あ……起きましたか!」
その者はファイではなかった。
ロイシャラン王国の者だった。
ファイの言っていた間者だろうか?
レインはその者を見た。
それを見て、その者が言う。
「あ、すいません。名前言ってませんでしたね。シントスです。シントス・クロスファンです。ファイ・アルロスさんなら、こっちの部屋で寝ています。あなたも今から運ぼ」
「え!?ふぁ、ふぁ、ファイさん……も、もしかして……生きてるの?」
「え?え、えぇ。……って、わぁ!!」
シントスは慌ててレインに近づく。
ファイが生きてることを知った途端、急に前に崩れた。
そして地面を向いて嬉しそうに言った。
「良かった……ファイさん、生きてるのか……良かった……本当に。よかった」
笑顔で顔を上げる。
その目からは、涙がこぼれ出ていた。
シントスは戸惑う。
どうしていいか分からなく、結局何も話しかけなかった。
「あの……シントスさん?」
レインが涙を拭いて言った。
「あなたは……味方なんですよね?」
「え?え、えぇ」
シントスはつい頷いてしまった。
実際、ファイは助けたのだが、勝手に味方と言って良いのか分からなかった。
しかしレインの笑顔を見て、訂正出来なかった。
「ならっ……」
レインは全身の痛みを抑えて立ち上がる。
シントスは慌てて止めようとした。
「きゅ、急に動くと危ないですよ」
「だ、大丈夫です。それより、僕、ファイさんの所に……」
その言葉でシントスは止めることが出来なくなった。
レインは隣の部屋に向って歩き出す。
ふらふらしているが大丈夫そうだった。
シントスは見守る。
レインはそのドアを開けた途端、急いで中に駆け込んだ。
もう少ししっかりとレインの手当てをしたいところだったが、しばらく経った後にしようと思った。
しばらくは、二人っきりにしてあげようと思ったのだ。
隣の部屋で響く、嬉しそうな声を聞いて。
ファイが生きてると聞いた時の幸せそうな顔を思い出して。




