第七話「驚きの訪問」《3》
「君。剣を持ってるなんて珍しいね」
レインは苦笑いをした。
クラウはレインの能力を知らないようだった。
なら。
レインはそのまま剣を横に振る。
普通なら、その剣はクラウに届かない。
そう、普通なら。
レインが剣を振ったのとほぼ同時にクラウは後ずさりをした。
腹部から出血をして。
「な……んだ?」
クラウは右手で腹部を触り、驚いていた。
腹部が切れていたのだ。
横に。
が、クラウに状況を確認させられる前にもう一振りした。
こんどは斜めに。
「ぐっ!!」
今度はクラウの左肩から右腹部までが切れた。
傷は深くない。
が、出血するほどではある。
「そうか……」
そこでようやく気付いたようだった。
が、もうレインはもう一振りをし終わっていた。
「ぐっ!!」
今度は足だ。
両足の膝が横に切れた。
「『斬』と『空』を剣を使って操る者、レイン・スペラクト……か」
「!!」
レインは一歩下がってしまった。
さっきまであった「余裕」が消えた。
さっきまでなかった「殺気」が現れた。
レインは剣を握りなおした。
ばれてしまった。
が、クラウは移動系統の魔法は使えない。
スピードでは勝てるはずだ。
レインは今度は縦に振ろうとする。
両手を上に上げる。
が、そこで爆発が起きた。
丁度レインの手元でだ。
その衝撃でレインは剣を離してしまう。
飛ばされた剣は後ろにいき、床に刺さった。
「くっ……」
レインは両手を下に下げる。
その手首からは血が出ている。
見抜かれてしまった。
一瞬で。弱点を。
「この技は、援護してくれる者がいて初めて通用する。君、僕をなめているんですか?ま、その技しか出来ないなら話は別ですけどね」
そう、この技は遠距離かつ強力だ。
が、弱点も当然あった。
隙がありすぎるのだ。
それをクラウは瞬時に見抜いた。
レインは動けない。
剣を取りに行きたいところだったがそれは出来ない。
クラウに背を向けられるわけが無い。
ならどうするか。
それは一つしかなかった。
レインは右手を伸ばす。
『手刀』だ。
剣を使うように遠距離攻撃は出来ないが、威力はある。
「諦めたらどうですか?」
クラウは笑った。
僅かだが隙が出来た。
レインはその隙を見逃さない。
足元の空気を膨張させ、勢いをつけた。
その勢いを全て使ってクラウに切りかかる。
手刀で。
しかしそれは読まれていた。
切りかかったその先には、炎があった。
慌てて手を引こうとするが遅い。
いつの間にか右に回りこんでいたクラウがレインの顔面を横から殴った。
クラウはよろめいたレインをさらに攻撃する。
こんどは爆発でだ。
下部で起きた爆発の影響で、レインは宙に浮いた。
そのまま天井にあたりゆっくりと落ちた。
レインは動かない。
致命傷ではない。
が、もう意識はない。
それを確認して、クラウの視線はファイへと移った。
クラウはファイの表情を見て鼻で笑った。
「情けないね。君は」
先程まであったクラウの殺気は、全て余裕に変わっていた。
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