第七話「驚きの訪問」《2》
レインは鞘から剣を抜く。
が、その前にシュハードが動いた。
右手をクラウに向け、電流を流す。
動くことの出来ないほどの電流を。
が、それが通用するのは常人までだ。
クラウは何も起きてないように、シュハードを見た。
顔はまだにやついている。
「それだけですか?」
クラウは何もしない。
ただ、かかって来いとでも言いたげな目で見ていた。
そこでようやくレインが追いついた。
「!!」
が、レインの目の前で爆発が起きた。
クラウの『火』。
ダメージはなかった。
わざとやった。
脅しだ。
「一対一といきましょうよ。卑怯じゃないですか」
レインは動けない。
そして迷った。
動いたら即死だろう。
が、このまま待っていたとしても死ぬだろう。
なら、どうするべきなのか。
レインは分からなかった。
「さぁ、どうぞ」
クラウはシュハードに言う。
余裕に振舞っているが、隙は全く無い。
それでもシュハードは上級者だ。
隙は作れないのだろう。
「なめるな!!」
シュハードは伸ばしたままの右手から、こんどは巨大な火の玉を発射させた。
高速だ。
クラウにあたる直前でそれは爆発した。
クラウがやったのだ。
爆発の影響で煙が出来た。
「火の魔法は……」
気付くとクラウはシュハードの右側に回りこんでいた。
巨大な火の玉を出したせいで、雷を緩めてしまっていたのだ。
「こう使うんですよ」
クラウは右手を伸ばす。
シュハードは反応出来なかった。
クラウが回り込んでのに気付いたのが精一杯だった。
そしてシュハードは、燃えた。
正確に言うと、シュハードの右側が爆発したのだ。
その反動で、シュハードは吹っ飛ぶ。
まだ生きている。
クラウは殺そうとしていなかった。
「まず一人……」
クラウは小さく言った。
が、独り言ではなかった。
明らかに、レインとファイに向かって言ったのだ。
「ファイさん。僕が次やります」
レインは震えた手で、剣をしっかりと握り締めた。
煙のせいで、クラウの姿は僅かしか見えない。
が、分かる。
次の標的は自分だった。
「勝手に決めないで下さい」
クラウの口元が見える。
やはり、笑っていた。
「ま、別にいいんですけどね」
ファイは酷かった。
今の戦いに目が付いていかなかった。
それに体が震えている。
声が出せない。
これが『恐怖』だった。
「次、行くよ」
そんなファイを無視して、クラウは言った。
「君は何秒持つかな?」
クラウは言った。
まるでこれからゲームを始めるかのような口調で。




