第六話「出会い」《4》
「み、見てるだけじゃなかったんですか?」
シュハードは、外にいる者に言う。
自然と声が震える。
攻撃までの気配のなさ。
瞬間的に感じた強大な殺気。
爆発の規模。
顔を見なくても分かる。
その者は、自分達と同じファイ殺害を任された内の一人。
そして、完璧な五人の一人だ。
パーフェクトⅤ、また、№Ⅴとも言ったりするが、正式名はない。
上級レベルの中でも強い五人のことを言う。
№1 ーー上級レベルの中で最も強い者で、シャラジューマ全体を管理している。
№2 ーー二番目の強者で、主にSIKSについて管理している。
№3 ーー三番目の強者で、主に初級者、中級者を管理している。
№4 --四番目の強者で、主に軍備について管理している。
№5 --五番目の強者で、主に裏切り者の排除について管理している。
本当ならば、 №5 の役目だが、今は独自で行動し、出来ないらしい。
そして、代わりに来たのが、その上をゆく、 №2 だ。
名を、クラウ・シュラクスという。
クラウは、フードを被ったまま煙にある程度近づいた。
「見てるだけじゃつまらないでしょう?それに、予想以上に君らが油断していた。そして何より、SIKSをここに呼び出してしまった。君らだけじゃ無理だろう?」
「……」
シュハードは何も言えなかった。
全て事実だ。
油断していたことも、それが原因でSIKSを呼び出してしまったのも。
しかし納得のいかないことがあった。
ノスタードだ。
クラウは間違いなく、ノスタードごとSIKSを攻撃した。
しかも死ぬ可能性が大いにある威力で。
「シュハード君、何か文句でも?」
それを察したようにクラウが言った。
「いえ、何も……」
「なら良いんです。SIKS〇二二号の破壊の責任者は僕なんですよ。命令違反は許しません。例えば……」
そこでクラウは煙の中を見た。
そしてその中に右手を入れる。
「ファイ・アルロスの仲間を逃がした奴とかね!]
そこでまた殺気が膨れ上がった。
と同時にクラウの右手が右に振り下ろされる。
何かを投げたのだ。
物のような、何かを。
シュハードは黙る。
そのものとは、ノスタードの焼けた死体だった。
そんなことはどうでもいいと言いたげに、クラウはすぐに視線を煙の中に戻す。
シュハードはすぐにでもノスタードに駆け寄りたかった。
しかしそんなことをすれば、『命令違反』になる。
そうなれば、クラウにすぐに殺されるだろう。
シュハードは様々な感情を全て殺した。
「甘い!!」
そんなことをしてると突如、サイクスの声と同時に煙が消えた。
そこから現れたのは、またも無傷のサイクスだった。
シュハードはもう戦意が消えていた。
裏切るつもりはないが、戦うつもりもない。
そんな時の行動は一つしかない。
「クラウ……殿。失礼を承知で……さらば!!」
そこでシュハードは水と化す。
クラウは表情を変化させていなかった。
分かっていたのだろうか。
「……そして俺はここに来た」
シュハードの説明が終わる。
レインはその先は理解した。
「俺はそれを理由に裏切るとは言わない。確かにノスタードを殺したのは憎い。が、それはシャラジューマでは当たり前のようなものだ。本当の理由は、『償い』。と言ったところだ」
「……」
レインも同じだった。
レインだけじゃない。
シャラジューマを裏切った全ての人々が恐らくそれを目的としただろう。
「……じゃ、行きますか」
レインは、小さな声で言った。




