第六話「出会い」《3》
それは、一日前のことだった。
レクシィ城。
そこでファイが、窮地に立たされていた。
「じゃ、終わりだ」
シュハードは言った。
案外簡単に終わった。
自分達上級者が来る必要があったのかと思ったくらいだ。
攻撃も中途半端、逃げるまでの会話も、その行動のスピードも。
所詮中級者だ。
シュハードは右手をファイに向けた。
ファイは目を閉じたまま仰向けに倒れている。
もう諦めたのだろう。
シャラジューマにしては早い諦めだ。
まだ何か仕掛けてきそうだが。
そう思った時、異変が起きた。
ファイの体が光ったのだ。
一瞬ではない。
その光は一瞬にして大きくなり、ファイの体を包み込んだ。
「まずい!!」
シュハードはすぐに殺せるほどの炎を右手に集めた。
この光、現象。
間違いなく移動魔法だ。
どの魔法かは断定できないが、ファイを助ける為のものというのはすぐ分かった。
だから、殺せるほどの炎が集まった瞬間、すぐにそれを発射させた。
ぎりぎり死ぬ程度の炎だ。
シュハードはすぐに次のを発射させた。
油断は禁物だ。
光はファイの体を完全に包んだ。
そして考える。
ファイを助ける者。
恐らく、いや絶対に裏切り者だ。
しかし心当たりはない。
ファイの知り合いを調べたが、移動魔法が使える者はいなかったはずだ。
光は徐々に小さくなっていく。
シュハードの攻撃の手は止まる。
光の中から出てくるのはなんだろうか。
ファイの死体か、その身代わりとなった者の死体か。
「!!」
その時、シュハードの顔のすぐ右を、何かが通った。
反応できなかった。
雷……魔法が通った。
発射元は、光の中。
そこで分かった。
ファイと関わりがあり、移動魔法が使える者を。
「あーーうぜえ……」
光の中からそんな声が聞こえた。
ファイと同じ声。
しかし違う人物だ。
光の中の人物は立ち上がる。
それで足元以外が見える。
しかし見なくてもどんな顔か分かる。
ボロボロのシャラジューマのマントを着ている。
髪、瞳の色はファイと一緒で、身長や顔つきも同じだ。
SIKS……サイクスだ。
聞いたとおり、ファイにそっくりだ。
しいて言えば、目つきぐらいだ。
「一人か……」
サイクスはシュハードを見て言う。
その時、サイクスの周辺が爆発した。
すぐに煙がサイクスを包む。
シュハードがやったわけではない。
そんな余裕はなかった。
向き合ってただけで分かる。
勝てない。
「シュハード」
と、名前を呼ばれた。
誰だかはすぐ分かる。
『火』を使う、ノスタードだ。
しかしその方向を向かない。
向く余裕がないのだ。
「本人やれば手っ取り早いじゃん」
ノスタードは簡単にそう言い、煙に近づいた。
分からないのだろうか。
シュハードは何度もそう思う。
煙の中に無事にサイクスがいることが分かっているはずだ。
「シュハード?……どうしっ!!」
その時、煙の中から手が出た。
誰が見ても分かる。
サイクスだ。
その手はノスタードの首をしっかりと捕らえる。
「ノスタード!!」
ようやくシュハードは理解した。
しかし体が動かない。
本能で自分より強い者を拒否している。
久しぶりだった。
こんな状況は。
そしてまた、爆発が起こった。
それはノスタード、サイクスを完全に捕らえていた。
先ほどのノスタードの爆発とは比にならないほどの大きさだった。
シュハードは外を見る。
ノスタードが壊した壁から、誰かが見えた。
爆発を起こした者だ。
シャラジューマのマントを着、フードも被っている。
右手をサイクスの方向に伸ばしている。
そして僅かに見える口元は笑っていた。
「命中……」
その者は、笑ったまま言った。




