第六話「出会い」《2》
沈黙が続く。
ファイは、イルド、またはラーチャがすぐに断ると思ったがそうでもなかった。
いくら村の人の敵でも、何年も仲良くしていた人たちと戦うのは嫌らしい。
しかし、協力するのも嫌だ。
そして何も言えない。
ならば、とファイが声を上げようとした。
「一先ず俺んち来い」
しかしそれを発したのはイルドだった。
それほど大きな声ではない。
イルドの家、それはイルドの祖父の家のことだろう。
イルドはファイの横を通り、そして二人の横を通り、前に進む。
残った四人は黙ってイルドに付いて行く。
誰も何も一言も話せない。
そもそも話せる空気ではなかった。
「ここだ」
しばらく歩いたところでイルドが止まる。
他の家と比べ少し小さい。
一階建てで、一人暮らしにはちょうど良い位の大きさ。
周りに合わせてか、白い壁。
ここがイルドの祖父の家だろう。
中には人がいるだろうか。
いやいない。
ファイは一瞬で分かった。
気配がない、物音がしない、色々理由はある。
「入れ」
イルドは中に入る。
鍵は開いているのかと思ったが、開いていた。
誰もいないのに。
中に入ると玄関、そして直線の廊下が見えた。
廊下の途中で右に部屋の入り口があり、廊下の先にはもう一つ部屋があった。
イルドはその部屋に入る。
その部屋は、リビングだ。
木の椅子に囲まれた木のテーブルが中心にある。
部屋の左後ろにはドアがあり、その先にも部屋があるようだった。
椅子は四つ、一席足りない。
全員が部屋に入ったが誰も座らない。
「ファイ」
ここでイルドが口を開いた。
「俺は……いや、俺とラーチャさんは、そこの部屋にいる。俺達は、策やらそこら辺の事情は詳しくない。だから、ファイ。お前が決めてくれ」
ファイは驚かない。
これくらいは予想していた。
しかし他人のことを自分が決めるのは気が引ける。
が、断るわけにもいかない。
「分かった」
ファイはただ一言、言った。
それを聞き、イルドとラーチャが部屋を出る。
廊下の途中にあった部屋に行ったのだろう。
「さて……」
ファイはため息をするように言い、廊下と反対側の椅子に座る。
リスターもそれを見て、廊下側の椅子に座る。
ただ一人、ケミアだけが立っていた。
「……隊長、他の者を探してきます!」
ケミアは返事を待たずに部屋を出た。
ファイとリスターを二人のみの空間に閉じ込めたかったのだ。
それに、念の為に仲間にも知らせておく。
なかなか良い選択だった。
「まず、自己紹介しようか?」
「いや、イルドから聞いた」
「なら、貴方は?」
「ファイ・アルロスだ」
「あ、あぁ。ちなみにさっきの男は……」
「ケミアだろう?それもイルドから聞いた」
どうやらリスターは時間稼ぎがしたいらしい。
ケミアが戻るまで、話を進めたくないのだろう。
慎重にやらないと大変なことになるかもしれない。
なら、そう思って、ファイは決めた。
時間稼ぎに乗るのだ。
「質問があるんだが……」
「な、なんだ?」
「お前らの過去を教えてくれ」
「……」
リスターは黙った。
いくら時間稼ぎをしたくてもそれは語れないのだろうか。
「分かった」
が、意外と早くリスターは口を開いた。
そして長々と、昔のことを語り始めた。
気のせいか、風が強くなってきた気がした。




