第六話「出会い」《1》
リスター・クロウセス。
五人の兵士の隊長。
年齢は、最年長だがそれでも三十代と若い。
暗くてよく見えないが、冷静そうだ。
ケミア・タートス。
今リスターといる者だ。
紺色の髪と黒い瞳。
しかしなんと言ってもそのニコニコしている目がケミアの人格を表しているように見える。
この状況で笑顔、だがファイは不思議に思わない。
イルドに既に聞いていたのだ。
笑顔以外の表情を見たことがない。
イルド、そしてラーチャが共に言った。
「さてっ……」
ファイは呟く。
「街の様子とお前ら、何か関係あるのか?」
ファイは少し強く、睨めつけながら言った。
さすがにこの程度では動揺しない。
とくにケミアなんて何考えてるか分からない。
何も考えてないのだろうか。
「知りませんよ」
意外にも、それを言ったのはケミアだった。
当然、笑顔は絶やしていない。
「逆に問いたいです」
ケミアは笑顔だった。
しかし表面だけの。
普段とは違うのかもしれないが今は誰が見ても分かる。
「なんでシャラジューマが村に!」
その時、ケミアは笑顔じゃなかった。
同じだ。
村で魔法を使ったところを見せたときと。
一瞬でファイへの殺気が増えた。
いや、表れた。
何年も一緒にいたイルドとラーチャは、笑顔以外見たことないと言った。
それがこんな早く見せるとは。
「ケミア!!」
リスターが止めた。
隊長というだけのことはある。
ケミアの殺気はすぐに治まる。
笑顔も取り戻した。
何故ケミアが殺気を出したのかは分かる。
明確な理由までもは分からないが、分かる。
だからその辺は何も言えなかった。
「街のことは俺達も知らない」
リスターが一歩踏み出す。
冷静だ。
自分が置かれている状況が分かっているのだろう。
「俺達はこのまま城に向うつもりだ」
「!!」
この発言に、恐らく全員驚いた。
ケミアは笑顔のままだったが、眉を動かせていた。
知らせてはいけないことだろう。
誰だって分かる。
今ここで、城へ行くと言うのだ。
「が」
そして続けた。
「五人で、状況が掴めない城に行くのは危険だ。が、人の気配のない街に留まるのも危険だ。何かが変なのでな」
「何が言いたい?」
ファイはさらに強く睨んだ。
しかし動じない。
所詮若者という訳だ。
「手を組まないか?」
これに驚いたのはケミアのみだった。
この状況だ。
だいたい予想はしていた。
「た……隊長!!」
それに対しケミアは慌てていた。
しかし笑顔は絶やさない。
目はにっこりとしているのだが、口が慌てている、と言ったところだ。
正直とても変な表情だ。
「ケミア!!」
またリスターが怒鳴った。
さっきより強めに。
しかしケミアはまだぶつぶつ言っている。
相当シャラジューマと行動するのが嫌らしい。
「こっちのメリットは?」
「城から聞いている。レクシィ城に囚われている者の身柄を解放しよう」
レクシィ城に囚われている者。
ジェイダスのことだろう。
「それに、城の中に入れる」
ファイは考える。
結果はこうだ。
ファイが答えを出してはいけない。
被害者は村人、すなわち、イルドとラーチャだ。
「……」
そしてまた、沈黙となった。




