第四話「理由」《4》
ファイ達はとりあえず村から避難した。
ラーチャも心配だった。
イルドから、知っている情報は全て聞いた。
祭りの企画は、つい昨日決まったらしい。
たまには……五人の兵士がそう言ったらしい。
五人は、何年も前からこの町の警備をしていて、村の人とは仲が良かった。
だからこんな急な企画もすることが出来た。
が、開催式。
村の人が集まったその場所は、爆発した。
イルドはその時、家にいた。
幸運だった。
外からの爆音で、イルドはすぐに外に出た。
これも運が良かったのだ。
家を出た直後、隣の家が爆発した。
それだけではない、他に四つ。
そう、兵士が住んでいる家だ。
爆発で出来た炎はすぐに目の前の自分の家にも燃え移った。
イルドはそれを、独り言のように語っていた。
本当に、小さな声で。
「ラーチャさん!!」
イルドはラーチャを見るなり、走って駆け寄った。
まだ起きていない。
ファイはゆっくりと近寄り、隣に座った。
その反対側では、イルドが心配そうにラーチャの顔を覗き込んでる。
ファイはまず考えた。
推理した。
何故兵士達が村を破壊したのか。
裏切り、これが妥当だ。
脅されている、という線もあるが。
どちらにしても、ロイシャラン王国が関係してるだろう。
そうだとしたら、大成功、といったところだ。
たぶん、村の住人で生き残ったのはこの二人くらいだ。
ファイはそこで気付いた。
イルドの凄さに。
シャラジューマにいたせいで、この状況、これが普通だと思ってしまっていた。
しかし違う。
普通なのはラーチャだけだ。
目の前で家が燃え、人が死に……。
それを耐えている。
これが普通ではないのだ。
「い……」
ファイはイルドに話しかけようとした。
が、止めた。
理由は一つ。
物音だ。
ファイは後ろを向かない。
気付いたことを相手に気付かせない。
ファイは殺気を殺して風を作る。
誰だ?
その気配が近づいてくるのが分かる。
イルドは気付いていない。
そして、気配が止まった。
そこでファイは振り返る。
と同時に風で目の前の木を斬る。
その奥の人には当たっていないだろう。
その距離でやった。
「誰だ!!」
イルドはようやく誰かがいることに気付いたようだった。
風で斬られた木が、ゆっくりと右に倒れる。
そこから、段々とその者が見えてくる。
赤い鎧……ではなかった。
一般人でもない。
服装を見ただけですぐ分かる。
黒いマント。
そう、シャラジューマだ。
そしてその顔には、見覚えがあった。
左手には剣を持ち、髪は緑色。
背が低く、まだ子供と言ってもいいその者は……。
レイン・スペラクト。
「……」
ファイは予想外の者の出現に、声が出なかった。
レインって、覚えてますか?
親友の一人です。




