第四話「理由」《3》
「ちっ……」
ファイは舌打ちをした。
つい先刻いた村とは思えなかった。
目の前にある家は燃え、道には何人か真っ赤に染まって倒れている。
銃声が轟き、それに紛れて人々の悲鳴が聞こえる。
敵の奇襲だろうか?
ファイはとりあえず、銃声が聞こえる方向に向った。
が、それはすぐに阻まれた。
左右から来る殺気だ。
しかしファイは足を止めない。
この殺気は、この場の敵のものだろう。
ならば、敵が持っているのは銃だ。
敵の居場所を把握する間もなく、銃声が近くで響いた。
ファイは風を使い軽く避ける。
これで敵はファイがシャラジューマということに気付いただろう。
これはわざとだ。
シャラジューマの力を見せ、戦意を喪失してもらう。
それで被害を少しでも少なくする。
しかしそれは逆効果だった。
前から、そして後ろから、複数の殺気が現れたのだ。
ついさっきまでとは違う。
明らかに殺気が倍増していた。
大きな一本道。
左右には燃え盛る家。
中央にはファイが一人、止まっている。
前から二人。
後ろからは三人。
「……」
しかしファイはそれが敵ではないことに気付いた。
前後の五人は、赤い鎧……シャルゼイナ王国の兵士だったのだ。
しかしファイは五人に対して警戒を解くことは出来なかった。
五人から出ている殺気は、確実にファイに向けられているのだ。
敵と間違われているのだろうか。
どうやらその様だった。
五人は一斉に持っていた銃をファイに向けた。
「おいおい……」
ファイは苦笑いをした。
どうしようか、そう考えてる時、何かが動いたことに気付いた。
前でも後ろでもなく、右、そして自分だった。
右に微かに影が見えたと思ったら、自分の右腕を誰かに捕まれ、左に引っ張られていた。
急なことで、体が付いて行かず、左によろめく。
どうやら誰かが右から出てきて左に引っ張っているようだった。
誰なのかは確認することは出来ない。
ファイは引っ張られるまま、左に走った。
兵士五人は、ファイ以上に体が付いて行かないようだった。
銃を構え、標的を捉えようとするときにはもう、ファイは燃え盛る家の隙間を通って消えていた。
ファイは両側からくる熱いものに耐えながら抜け、その者を見た。
するとその者は見たことがあった。
「お前は……たしか、イ…ルドだったか?」
そう、そこには、長い剣を腰に挿している、イルドがいたのだ。
イルドは何か言いたげだった。
「お前……馬鹿か?」
真剣な顔をして言ってきた。
「なっ!!……」
「敵にわざわざ囲まれに行くなんて、馬鹿……いや、馬鹿以下か?」
「おまっ!…………?」
ファイは言い返そうとしたが、あることに気付いた。
「敵?どういうことだ?」
「やっぱり馬鹿だ。馬鹿はいいな。俺は馬鹿じゃないから分かる。いやあ、分かっちまう」
イルドの顔は見る見る暗くなっていく。
それに合わせ、声も小さくなる。
「今の人たちが、村を壊したんだよ」
そしてさらに小さな声で、呟くように言った。
どんどん更新が遅く……。
頑張ります!!




