第一話「アルソリーとの出会い」 《1》
「帰ってきた…」
町の入り口で、男がつぶやいた。
ファイ・アルロス。
シャラジューマの人々から逃げ、やっとこの町「スレイタウン」に着いた。
この町は、シャルゼイナ王国にも、ロイシャラン王国にも属さない、中立の町だ。
さっきまでの鋭い目の面影は無く、丸くなっている。
これが普段のファイの表情だ。
だが、ファイの姿は、黒いボロボロのマントに、裸足………どう見ても、貧乏人の姿だ。
近くを通った人達は、ファイを見て、笑ったり恐れたりしていた。
そんな事は別にファイは気にしていなかった。
それより、この町にいる「元シャラジューマ」の人を探していた。
抜けたのは2年前。
ファイが入ったのは1年前。当然顔は知らない。
知っているのは名前……
ジェイダス・アルソリー。
とにかくそのジェイダスという男を探さなければならなかった。
しかし、本当にこの町にいるのか、いたとしても何処に?
この町の人口は一万人以上いるんだ。
そして、顔もも知らないのにこんな広い町をどうやって探せばいい?
だがその数パーセントにかけるしかなかった。
他に頼るものがない…
「!!」
突然、町の中から光っている高速の何かが飛んできた。
それはまるで、小さい雷だ。
ぎりぎり、顔に当たりはしなかったが、左肩を少しかすった。
これは…魔法?
なぜ?
ジェイダス・アルソリーか?
それとも敵か?
とにかく、追わないと。
雷のようなものは、家と家の間の、小さな道の方から飛んできた。
ファイは走ってその小さな道を通った。
その先には、以外にも、家の壁に囲まれた小さな公園だった。
遊具はブランコとすべり台、そして小さな砂遊び場だ。
とても小さく、誰一人いなかった。
「誰一人いない」…??
この公園の出入り口は今通った所だけで、周りの家も、玄関はすべて逆側だった。
そう、今来た道しか公園を出ることが出来なかった。
「………」
誰も居ない…気のせいか…ここからではなかったのか……。
ファイはゆっくりと、細い道に向かって歩いた。
「!!」
そのとき分かった。
ここに誰かいる…。
気配が感じた。
感じたと言うより、相手が感じさせているようなものだ。
わざとファイに分からせようとしている。それが少し頭にきた。
ファイはすべり台に上り、辺りを見回した。
「何処にいる!出て来い!」
ファイは何処かに向って叫んだ。右、左、後ろ、前……何処にもいない。
いや、まだ一つ見ていない所があった。
ファイはすぐにその方向…上を見た。
そこには、思ったとおりの光景があった。
人影が、人影が家の上に見えた。
日差しのせいで、よく見えないが、たしかにそこには人影がある。
そしてその人影が飛び降りてきた。
「気づくのが遅いな…」
男の声。
見ると、たしかに男だが、ファイにも負けず、髪が長かった。
目は細く、ファイを睨みつけ、瞳が少し青かった。
年齢は、20歳前後で、背はファイより高い。
服装は、シャラジューマのマントではなく、普通の私服だった。
ファイはすべり台から降り、男の前に立った。
そして、一つ、言えるとしたら、ファイを敵視していることだった。




