第三話「レクシィ城で」《1》
「あんたのせいよ」
狭い部屋の中で、レイラが言った。
「あんた」とは、目の前にいるファイのことだ。
ここは、厚い壁と、金属の柵に囲まれた部屋…つまり牢獄だ。
「ったく。お前が城門で取り押さえられてるところを助けてやったんだから……」
「でも、そのせいで『反抗した』ってなって、兵士が沢山出て来たんじゃん」
「うっ…………」
言い返せなかった。
それにしても、魔法を使わなくて良かった。
それほど警戒されていないらしい。
「あ、そうそう」
「ん?なんだ?」
「忘れてたんだけど」
「嫌な予感がするんだが……」
「あんたの追っ手、『魔法が使える者が、レクシィ城に捕まっている』っていう噂を嗅ぎ付けてたよ」
レイラは普通の口調で言った。
「そ……そういう事は、早く言え!!」
ファイは、金属の柵に捕まり、見張りの兵士の方を見た。
「おい。あんた。ちょっと来てくれ」
「なんでしょうか」
その兵士は、武器も持たず、たいした装備もしていない。
顔も普通に丸出しで、兵士とは言い難い格好だ。
「早く出してくれ」
「無理です」
即答された。
ファイはそれを聞いて、ふと疑問を持った。
「何でお前敬語なんだ?」
「え?敬語ですか?そんなつもりは無いんですけど…。本当に敬語になってますか?」
ファイは苦笑いをした。
ファイはその男を改めて見た。
紺色の髪は、短くも長くも無く普通で、瞳も紺色で、目はとても丸い。
背はファイより少し低いが、年はそれほど若い訳でも無い。
「敬語でも別にいいんだが、俺達をどうするんだ?」
ファイは一様聞いてみた。
当然そんな事は答えてくれないだろう。
「知りません」
「え?そこから?」
思わずファイは言ってしまった。
後ろにいるレイラを一回見ると、同じことを思っているようだった。
「いや、少しは聞きましたよ。たしか…あ!!駄目ですよ。教えませんよ」
ファイは舌打ちをした。
もう少しで話しそうだった。
その時、警報のような音と、声が聞こえた。
「進入者が入った。総員、位置に付け。人数は4名。シャラジューマだ。進入者が入った。総員……」
どうやら本当に警報だったらしい。
そして、進入者…絶対ケイズ達だろう。
「もういい。俺はファイ・アルロスだ。訳あって魔法が使える」
「ちょっと何言ってんの」
「レイラ。少し黙っていてくれ」
ファイは少し強く言った。
「お前、俺をここから出してくれ。俺もケイ…進入者を倒すのを手伝うから」
「………」
男は黙った。
しばらくすると、ゆっくりと口を開いた。
「ファイさん…でしたっけ?分かりました」
「え?」
ファイは驚いた。
絶対無理だと思っていたのに。
男は微笑んでいる。
「私はシントス・クロスファンです」
シントスは、ポケットから鍵を取り出し、牢を空けてくれた。




