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Part.1 女装彼氏
私の彼氏は、少し変だ。
変といっても、まぁそんなところも込みで好きなのだが。どこが変かというと――
「真ー緒ちゃんっ、一緒に帰ろっ」
思考に埋もれかけている時にちょうどピョコンと目の前に現れた顔に、とっさに手がでた。
「いたいいたいっ」
その頬をつねり、涙目になった表情をみてそっとため息をつく。
女の私よりもかわいいとか・・・。
「罪だね」
「何が!?」
目を白黒させる悠希をおいて鞄を持って立ち上がる。
「まってよー」
慌ててついて来る悠希に、少しだけ笑みがこぼれた。
その身に纏っているのは我が校のかわいいと有名な女子制服。
細身の悠希によく似合っている。ぱっちりとした大きな目を縁取るまつげは驚くほど長い。くりんと綺麗にカールされたツヤツヤ髪は、私よりもよっぽど手入れしているのだろう。
こうして二人で並んで歩いていると、一見仲の良い女友達にしか見えないだろう。
―――そう、私の彼氏は、学校でもそれで通してしまえるほど、女装が好きなのだ。