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くれないの?豚

作者: 遥(はるか)奏汰(かなた)
掲載日:2026/09/06

飛べない豚は、ただの豚だ」

名言の裏に隠された、知られざるローストポークの真実がここに——。

テンポ重視のショートショートです。気軽にサクッとお楽しみください!

「くれないの?」

 男はしつこく迫ってした。 

「あげないよ。売り物なんだこれは」

 店主は頑として首を縦に振らないのだった。

「売れない豚はただの豚だ」

 店主は、腕を組みながら、わけのわからないことを呟いた。

「何だよそれ。俺は豚じゃなくて、この特製ローストポークの話をしてんだよ!」

男が身を乗り出すと、店主は深くため息をつき、グラサンをかけた。

「……飛べない豚は、ただの豚だ」

「言い直した上に、余計意味が分かんねえよ! 飛ぶローストポークがどこにいるんだよ!」

「ここにいる」

店主が厨房の奥を指さすと、皿に載ったローストポークがブゥンと重低音を響かせ、垂直離陸した。煙を吹き上げながら店内の天井を高速旋回し始める。

「なっ……飛んだ!?」

「フッ、自家製ハーブとターボエンジンで仕上げた一品だ。だが……」

店主はどこか哀愁を帯びた目で、飛翔する肉を見つめた。

「速すぎて、誰の口にも入れられないのさ」

「だから売れ残ってんだよ! 普通に食わせろ!」

男の叫びをよそに、ローストポークは夕日に向かって窓から飛び去っていった。


     【了】

最後までお読みいただきありがとうございました!

ジブリの名言をくだらない駄ジャレで回収するだけの、完全なる勢い任せなショートショートです。ターボエンジン搭載のローストポーク、一度でいいから香ばしい煙とともに空を飛ぶ姿を見てみたいものですね(絶対回収できませんが)。

またクスッと笑えるような小話が思いついたら投稿しますので、お気軽に読んでいただけると嬉しいです!

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