第9話 か、神ちゃまなの!?
ルミナリア。
国家間会議が延期になったことで、セレスティア様が王都に帰還した際に連れ帰ったメイド。
性格に問題はない。
少々不器用だが、セレスティア様に忠実に奉仕している。
だがしかし。
一つ問題がある。
彼女はいつも俺を見つめてくる。
その理由は分かっている。
俺が彼女を〇そうとしたからだ。
彼女がセレスティア様のおっぱいを狙う理由はいまだに分からないが、一つだけハッキリとしたこともある。
それは彼女が俺に復讐しようとしてることだ。
それもそのはず。
俺が彼女に手を出そうとしたのだから。
だが後悔はない。
セレスティア様を傷つける者は何人たりとも許しはしない。
恨まれ役なんかとうに慣れている。
なぜなら俺は魔王軍を滅ぼしたからだ。
彼らにも家族がある。
その家族に恨まれているとしても不思議はない。
存分に俺を恨むがいい。
セレスティア様が貴女をメイドにしたのなら、俺も貴女の憎しみを受け止めよう。
「セレスティア様、これはどこに置いたらいいでしょうか?」
「棚の上にお願いしますね」
「と、届きません……」
「代わってください、私が置くので」
「ありがとうございます!」
なに!?
セレスティア様のおっぱいが揺れよる!!
背伸びして棚に皿を置こうとするセレスティア様。
ギリギリ届かないから、ぴょんぴょんと跳ねる度に、おっぱいがぷるんぷるん揺れよった。
危ない。
おっぱいが危ない。
助けねば。
「……っ!? あ、ありがとうございます、レオン様」
「とんでもありません。高いところは私にお任せください」
まただ。
またセレスティア様の顔が赤い。
これもすべて俺の力が弱まったからだ。
治癒の魔法は効果がなかった。
それが事実だ。
受け止めよう。
これからは元の力を取り戻せるように努力すればいい――
「あっ!」
「大丈夫ですか!? ルミナリアさん!」
「大丈夫です、セレスティア様。ちょっと指を切っただけですので……」
「レオン様、なんとかなりませんか……?」
やめてください。
そんな期待するような目を。
今の力が弱まった俺は彼女の傷を癒せるか分からないのだ。
「……なんとかします」
でも。
セレスティア様の頼みとあれば、断るわけにはいかない。
集中するのだ。
全魔力を治癒の魔法に注ぐ。
そうすればあるいは。
「―――ッ!?」
「良かったですね! ルミナリアさん」
ふふっ、これが今の俺の限界か。
全魔力を集中しても、切り傷を修復するのが精一杯、といったところだろう。
これから精進せねば。
◇
指が暖かい。
すごく暖かい。
まるであの時左腕が再生した時のよう。
いや、その時とは比べ物にならないくらい、光に包まれている感覚がした。
神々しい。
それしか言葉が出てこない。
気づいた。
気づいてしまった。
勇者レオンこそ神様なのだ。
わたしはなんて愚かだったのでしょう。
勇者レオンを刺そうとしたのだから。
皮肉なことだ。
わたしの父を〇した者に、癒しを頂いてしまった。
指が《《生命力》》に満ち溢れているような気がする。
暖かい。
まるで母に握りしめられているみたい。
すごく幸せな気分だ。
勇者レオン。
いいえ、神様。
わたしはこの身体をあなたに捧げます。
それでどうか愚かなわたしをお許しください。
どうか……。
◇
人の気配がする。
俺の【万能感知】がそう告げている。
相手の身長はややセレスティア様より低い。
おそらく女性だ。
月光を頼りに俺の寝室を進んでいることから察するに、泥棒の可能性が高い。
しかし、相手が悪い。
俺は勇者。
不敗の勇者レオン・ヴァルディスだ。
世界最大規模の盗賊団を壊滅させたこともある。
俺の部屋に入ったのが運の尽きだ。
「いやんっ!」
押し倒した。
逃げられないように両手を抑える。
「わたし、わたしです! ルミナリアです!」
【神眼】を発動させた。
俺に組み敷かれているのはまぎれもなくルミナリアというメイドだ。
「復讐……ですか」
「……そう考えてました」
「(貴女を〇そうとしたことについて)許しを乞うつもりはありません」
「(わたしの父を〇したことについて)もう許してますよ」
「そうですか……今後一切貴女に手を出さないと誓いましょう」
「いや、手を出してください!」
「逝きたいのですか?」
「……ッ! イ、イってもいいのですか?」
「ごめんなさい、私にはできません」
「そう(ろう)なんですか!?」
「ええ、私はもう(殺生は)しないと誓いましたから」
「だ、大丈夫です! わたしは(出るのが)早くても全然気にしません!」
「(〇されるまでの時間が)遅いほうが辛いですからね」
「なら、わたしでも……?」
「申し上げましたが、(〇したりは)しません」
「(エッチ)してくれないのですね……」
「生きなさい」
「一人でイけというのですか!?」
「大丈夫です。セレスティア様がいますので」
「(女同士でするのは)いやです!」
なんたる強情な子。
さぞかし辛い過去があるのだろう。
その気持ちは理解できる。
でも、生きてればいずれいいこともある。
彼女には理解して欲しい。
それに。
彼女を〇そうとしてセレスティア様に止められたあの日から、俺はもう命を奪うことはしないと誓った。
縄で縛り付ける。
彼女が自ら命を絶たないように。
いつか、彼女にも希望が見えますように。
俺は静かに祈った。
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