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第20話 危機、再び

 ああ、レオン・ヴァルディス()様がいっぱい♡


 わたしを囲んで熱い視線を送ってくれている。


 分かっている。


 わたしは今快感で幻覚を見ているのだろう。


 これも全部レオン・ヴァルディス()様のせい。

 

 レオン・ヴァルディス()様はわたしを離そうとしてくれない。


 わたしが離れようとするとこんなふうに(神聖な)業火でわたしを焼くのだから。


 気持ちいぃ……。


 こころなしか、体の火照りが少し鎮まった気がする。


 それもそのはず。


 レオン・ヴァルディス()様がこんなにたくさんいるのだから。


 わたしの中に全部入ったらどうなっちゃうのだろう。


 想像するだけでよだれが止まらない。


 わたしは静かにイった。


 ◇


 あぁ、もう耐えられない。


 あそこが疼いてる。


 まるで行き場を失った数万人分の欲望(性欲)が私の中に入ってきているような気がする。


 分かっている。


 これも全部レオン様のせい。


 レオン様の愛は、それだけ大きいのでしょう。


 私はレオン様にこんなにも愛されているの。


 そう考えると、私はますます身体が熱くなっていた。


 太ももを伝う《《水滴》》。


 もはや洪水に変わるのも時間の問題でしょう。


 あぁ、身体が熱い。


 熱すぎる。


 気が付けば私は地面に崩れ落ちた。


 ◇


 やはりそうか。


 |この女《ルミナリアの身体を乗っ取った黒幕》は強い。


 俺の分身《《たち》》を前にしても、《《愉悦》》に浸っているようだ。


 それはまるで俺を警戒していない証。


 あるいは。


 まるで相手にしていないのだろう。


 どうする。


 どうしたらいい。


 下手に攻撃したら返り討ちに遭うかもしれない。


 ここは慎重に。


 俺は反魂の魔法を発動した。


 もしかしたら。


 上手く行けば、ルミナリアの魂を呼び戻せるかもしれない。


 ◇


 あああああああああああああッ!!


 脳が。


 脳が気持ちいぃ!!


 まるで無理やり頭の中をまさぐられているみたい。


 理由はもちろん分かっている。


 レオン・ヴァルディス()たちが視姦してくれているからだ。


 もうだめ……!


 さっきまで漏れ出していたわたしの力は、今度こそ解放されてしまう……!


 ◇


 なんだ。


 観衆がまたざわついている。


 いや、理由は分かっている。


 ルミナリアの魂がいま黒幕と戦っているのだろう。


 だから、黒幕は置き土産としてもう一度撹乱の魔法を放ったに違いない。


 往生際の悪いやつめ。


 貴様の魔法は先ほど俺の魔法によって無効化されている。


 ならば、もう一度使うのみ。


 俺は再度反転の魔法を民衆にかけた。


 ◇


 身体がさらに熱くなった。


 もはや我慢できないレベルに。


 しかし、どうしたらいいのかは俺には分からない。


 だから、俺は家で俺の帰りを待っている妻のことを考えた。


 すると、涙が出た。


 どうしようもない、妻を裏切った罪悪感が俺を襲ったからだ。


 咽び泣く。


 男なのに大勢の前で泣いてしまった。


 横を見るとみんな泣いてる。


 分かっている。


 聖女様の姿が神々しいからなのだろう。


 俺と違って、みんなは感動しているのだ。


 恥ずかしい。


 自分が恥ずかしい。


 だから、俺は再び目を閉じて神様に懺悔した。


 そして、俺の祈りは神様に届いたのだろう。


 その証拠に息子が復活した。


 しかし、聖女様はどうしたのだ。


 いきなり地面に倒れ込んで動かない。


 その姿を見て俺は、




 再び勃った。




 なんということだ。


 俺はまた聖女様に欲情してしまった。


 でも同じ轍は踏まない。


 俺は股間の疼きに必死に耐えていた。


 これくらい……あんっ♡……どういうことはない……あんっ♡……天罰と比べたら……あんっ♡……もうだめだ……。


 俺は再び股間に手を伸ばしていた。


 ◇


 くっ、反転の魔法が効かぬだと!?


 観衆は再び股間をさすり出した。


 もはや確信した。




 黒幕は二人いる、と。




 あの(王子)もこの場いる。


 これはきっとやつの呪詛に違いない。


 最初のはルミナリアの身体に潜む何者かの魔法。


 それを俺は反転の魔法で鎮めた。


 しかし、今のは間違いなく呪詛だ。


 セレスティア様の神聖魔法でなければ解除することは不可能。


 今はセレスティア様の祈りが終了するのを待つしかない……。


 うん?


 セレスティア様が倒れているだと!?

 

 俺としたことが。


 観衆に気を取られてセレスティア様の安全を忘れていた。


 不甲斐ない。


 俺はすぐにセレスティア様の近くに駆けつけて、回復の魔法を使った。


 ◇


 あの聖女(ビッチ)!!


 お前に出会ってから俺の人生は転落した。


 不能になって廃嫡となったのだ。


 最大の楽しみを奪われて、俺は絶望していた。


 あの女は決して許さない。


 俺はそう誓った。

 

 そして、チャンスが訪れた。


 大祈祷祭エクスタシア・リチュアル


 失脚したとはいえ、俺は王族だ。


 もちろん、招待の手紙は届いている。


 ならば、これを機にあの女を(ころ)そう。


 そう思ったのだ。


 にしても、身体が熱い。


 熱いのにあそこはビクともしない。


 これも全部あの女のせい。


 あの女は絶対なにかしらの呪詛を俺にかけたんだ。


 でないと、こんなこと(不能)にはならない。


 ゆっくり、愚民どもの間を縫ってあの女に近づく。


 その瞬間、




 息子がなくなった。




 そう、息子がなくなっていたのだ。


 畜生。


 あの女、俺の存在に気づいてやがる。


 その上でさらに呪詛をかけてきた。


 だが、こっちにももちろん備えはある。


 俺は王国に伝わる秘宝――解呪の宝玉を首にかけた。


 これなら安全だ。


 一度きりだが、どんな呪いでも《《魔法》》でもそれを無効化できる。


 さあ、やれ! 


 聖女はもう目の前だ。


 今こそこの女を分からせる時が来た。

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